「租税法上」の贈与は“契約”がない場合も課税関係が生じる
租税法上の贈与とは
みなし贈与財産は課税対象となります。相続税法においては、民法上は、贈与により取得したものではない財産であっても、実質的には贈与により取得した場合と同様の経済的効果を持つ次の財産については、課税の公平を図る観点から贈与により取得したものとみなして、贈与税の課税対象としているからです。
租税法では、贈与契約がなくても贈与税の課税関係が生じることはあります。贈与税は、当事者間において民法上の贈与契約があったときにかかる税金ですが、この契約がなかったとしても実質的に贈与したのと同様な効果を生じる場合、例えば、
・掛金等の負担をせずに取得した定期金受給権
・低額で譲り受けた場合の適正価額(時価)との差額
・債務免除、債務引受け又は第三者債務の弁済による債務額
・適正な対価を支払わずに取得した、あるいは、受益者等が存しない場合又は存しないこととなった場合に取得した信託受益権
・その他の経済的利益の享受
については贈与があったものとみなして贈与税を課税するとしています(相法5~9の6)※1。
過失によって贈与税が取り消される場合
しかしながら、法律の不知やうっかりということが少なくないことから、
・他人名義により不動産、船舶、自動車又は有価証券の取得、建築又は建造の登記等をした
ことが、過誤に基づき、又は軽率に行われたものであり、かつ、それが取得者の年齢その他により確認できるときは、これらの財産に係る贈与税の最初の申告もしくは決定又は更正の日前にこれらの財産を本来の取得者等の名義とした場合に限り、これらの財産は贈与がなかったものとして取り扱うとしています(直審(資)22(例規)直資68(例規)昭和39年5月23日一部改正昭57.5.17直資2-177外(例規)名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて)。
このように、生命保険等の満期受取金の取得や出捐割合と登記持分が異なることによる経済的利益がみなし贈与課税を受ける場合であっても、過誤に気付き贈与税の申告期限前に贈与の取消しや贈与財産の返還、あるいは、課税庁による行政指導として返還や是正を求められたことに従ったものについては、通常は課税処分の発動を差し控えているようです。
なお、贈与契約の取消しや贈与財産の返還に伴う受贈者から贈与者に対する贈与行為については、贈与がなかったものとして取り扱われ、贈与税の課税はされません※2。
贈与の時期
贈与の時期がいつであるかということは、納税義務の成立の時期、その財産の評価の時期、申告期限などに関連して重要な問題となります。贈与の時期は、次の通りです。
イ 書面による贈与その贈与契約の効力が発生した時
ロ 書面によらない贈与その贈与の履行があった時
実務上書面によらない契約は証拠の観点から絶対に実行しませんが、係争機関では事実認定ベースで認められた事案もあります。しかし、贈与の履行がなかったとして名義財産の論点は否認されています。
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