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家族が亡くなり相続が起きると、遺産分割協議や遺産の名義変更などさまざまな手続きが必要になります。税金の申告や相続放棄など、遺産相続に伴う手続きの中には期限が決まっているものがあるので注意が必要です。本稿では、司法書士法人みどり法務事務所・代表の池村英士司法書士監修のもと、相続開始後に必要になる手続きの種類や期限について解説します。

遺産相続の手続きの流れ

遺産相続の手続きは、順を追って進めていく必要があります。手順を間違えたり、手続きでミスをしたりすると、すべてやり直しになって余計な手間や時間がかかることがあるので注意が必要です。

 

以下では、遺産相続の一般的な手続きの流れを紹介します。相続手続きに慣れていない方には難しい手続きもあるので、不安な場合には弁護士や司法書士などの専門家に手続きの代行を依頼することも検討してください。

遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合は遺言内容に従って遺産を相続し、遺言書がない場合は遺産分割協議を行って遺産の分け方を相続人で話し合って決めることになります。

 

遺言書の有無によって遺産相続の手続きの流れが変わるので、相続が開始したらまずは遺言書が残されているか確認しましょう。遺言書は故人の部屋で遺品整理をする中で見つかる場合があり、公証役場や法務局で保管されている可能性もあります。

相続財産調査と相続人調査を行う

遺産相続の対象となる財産は何か、遺産を相続する権利がある相続人は誰か、それぞれ確認する必要があります。

 

相続財産調査と相続人調査は、遺産分割協議の対象となる財産や人を把握するための大切な手続きであり、間違いがあると遺産分割協議がやり直しになる場合があるので注意が必要です。相続人調査は、故人の死亡時点の戸籍謄本から遡る形で出生時点まですべての戸籍謄本を取得して行い、相続財産調査は故人の遺品や郵送物などを細かく確認して行います。

遺産分割協議を行って遺産の分け方を決める

遺言書がない場合や遺言書で一部の財産しか遺産分割の方法が指定されていない場合、相続人が2人以上いれば遺産をどのように分けるのか話し合って決める必要があります。この話し合いが遺産分割協議です。

 

後述する法定相続分に応じて遺産を分けるケースが多く見られますが、各相続人が同意するなら他の割合で遺産分割を行うこともできます。また、遺産分割協議は直接会って行っても、メールや電話等で意見を調整して行っても構いません。遠方に住んでいる相続人がいる場合、直接会うことが難しければ書面でやり取りすることも考えられます。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議をして合意できたら、遺産分割協議書を作成して合意内容を記載します。遺産分割協議書は、銀行預金の解約や不動産の相続登記など、遺産相続手続きを行う際に提出する書類の一つです。

 

遺産分割協議書には誰が何の財産を相続するのか分かるように記載し、相続人の数だけ作成して各相続人が1通ずつ保管します。遺産分割協議書の書き方を間違えると後々にトラブルになる場合があるので、遺産分割協議書の作成は弁護士や司法書士に依頼するほうが安心です。

遺産の名義変更の手続きを行う

遺産分割協議によって誰が何の財産を相続するか決まったら、各相続人は自分が相続する財産に応じて必要な手続きを行います。

 

例えば、土地や家を相続する人は、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する相続登記が必要です。

 

また、預金を相続する人は口座の解約手続きを行い、証券口座内の株式を相続する人は株式の名義を被相続人から相続人に変更して相続人の証券口座に移管します。この他にも、車など相続財産の種類によっては、名義変更の手続きが必要になる場合があります。手続きの数が多くて大変な場合は、弁護士や司法書士に依頼して手続きをすべて任せても良いでしょう。

 

 

家族が亡くなると、さまざまな手続きが必要になります。遺産相続に伴う手続きの中には期限が決まっているものがあるので、期限に遅れることがないように、手続きに向けた準備は早めに始めるようにしましょう。

 


池村 英士

司法書士法人みどり法務事務所 代表

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