「規則的な睡眠」が体内時計を整える
現代社会ではさまざまなライフスタイルが容認され、昼夜逆転の生活を送っている人もいれば、シフト制の仕事などで生活サイクルが一定していない人も少なくありません。慢性的な睡眠不足に陥っている人もいるでしょう。いずれも、免疫力にとっては良くありません。
睡眠は、ただ脳や身体を休めているだけの時間ではありません。昼間に疲労やストレス、紫外線などで傷ついた身体の組織を修復するための時間でもあるのです。
免疫を担っている免疫細胞も、睡眠中、脳や身体が安静状態のときはあまり活発に動かず、休眠状態となります。この間に、必要な栄養を取り込み、昼間の活動に備えるのです。
また、睡眠中に見る夢は、昼間に受けたさまざまな刺激、ストレスによる心身のダメージをやわらげる働きがあるといわれています。これも免疫力を回復させる助けになります。規則的にしっかりと睡眠をとることは、これらの点からとても重要なのです。
人間には本来、一定のリズムで覚醒と休息を司る体内時計が備わっています。不規則な生活を続けていると時計に狂いが生じ、起きていなければいけないときにやたら眠くなったり、布団に入ってもいつまでたっても目がさえていたり、といったことが起こりやすくなります。
昔の人のように、朝、日の出とともに起き、夜、日の入りとともに寝る、というのが生体にとって理想ではありますが、今の社会では現実的ではありません。ただできるだけ、この日は朝早くから仕事、別の日は夜の勤務、というような、日によって生活パターンが違う状態は避け、体内時計を一定のリズムに整えることが免疫力アップには大切です。
睡眠の質を上げるためには「適度な疲労」も必要
なお、睡眠時間は一般的に7~8時間が良いといわれていますが、私は時間の長さよりも、眠りの質を重要視しています。朝、ぱっと起きられない、寝た気がしない、疲れがとれていない、といった場合、眠りが浅く睡眠の質が悪い可能性があります。
睡眠の質が悪いと、心身が休まっておらず、修復機能も十分に働いていません。免疫の回復も万全ではないため、昼間起きているときに病気のもとから身体を守る働きが落ちてしまう恐れがあります。質のよい睡眠をとって免疫力をアップさせるには、夜12時頃には就寝するようにして、ぐっすり眠ることが大切です。
それには、起きている時間にできるだけ身体を動かし、ほどよい疲労感を得るとともに、体温を上げておくことをおすすめします。というのも、夜になり身体が休息モードに入ると体温が下がりますが、その下がり幅が大きいほどスムーズに寝つけ、深い睡眠を得られるからです。
寝る2~3時間前に、軽いジョギングや体操をしたり、お風呂でよく温まったりすると効果的です。ただし、寝る直前にそれをすると、交感神経が優位に立ち、身体が覚醒してしまって却って寝つきが悪くなるので注意しましょう。