3.声明の概要(金融政策の方針)
9月14日の政策理事会で発表された声明は以下の通り。
・インフレ率は低下を続けているが、依然として高すぎる状況が長期間続くと予想される
- 理事会は、インフレ率を中期的な2%目標に速やかに(timelymanner)戻すことを確実にすると決意している
- 目標への進捗をより強固にするために、本日、3つの主要な政策金利を0.25%ポイント引き上げることを決定した
・本日の理事会の金利引き上げは、理事会の最新の経済・金融データに照らしたインフレ見通し、基調的なインフレ率、金融伝達の強さへの評価を反映したものである
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9月のECBスタッフの経済見通しは、ユーロ圏のインフレ率は23年5.6%、24年3.2%、25年2.1%である
- 23年および24年は上方修正、25年は下方修正した
- 23年および24年の上方修正は主にエネルギー価格の経路が上振れたことによる
- 基調的なインフレ圧力は引き続き高い一方、多くの指標は緩和し始めている
- ECBスタッフはエネルギーと食料品を除くインフレ率について、23年5.1%、24年2.9%、25年2.2%に若干下方修正した
- 理事会の過去の利上げは引き続き強力に伝達されている
- 金融環境はさらにタイト化しており、需要もさらに抑制され、インフレ率を目標に戻すための重要な要因になっている
- 金融引き締めの域内需要への影響が強まり、域外貿易環境が弱まっているため、ECBスタッフは経済成長見通しを大幅に引き下げた
- ユーロ圏の成長率は23年0.7%、24年1.0%、25年1.5%と予想する
・現在の評価に基づき、理事会は3つの主要な政策金利が、これが十分に長い期間続けば、インフレ率が目標に速やかに回帰するために重要な貢献をする水準に到達したと考えている
- 理事会の将来の決定について、政策金利が必要とされる期間にわたり十分に制限的な水準に設定されるよう保証する
- 理事会は、制限的な水準と期間に関して適切に決定するため、引き続きデータ依存のアプローチを続ける
- 特に、理事会の金利決定は、最新の経済・金融データに照らしたインフレ見通しの評価、基調的なインフレの動向、金融政策の伝達状況によって決定する
(政策金利、フォワードガイダンス)
・理事会は3つの政策金利を0.25%ポイント引き上げることを決定した(利上げの決定)
- 主要リファイナンスオペ(MRO)金利:4.50%
- 限界貸出ファシリティ金利:4.75%
- 預金ファシリティ金利:4.00%
- 9月20日から適用
(資産購入プログラム:APP、パンデミック緊急資産購入プログラム:PEPP)
・APPの元本償還分の再投資(変更なし)
- APP残高は償還分を再投資しておらず、秩序だった予測可能なペース(measuredandpredictablepace)で削減している
- (23年6月末まで平均月額150億ユーロのペースで削減すること、7月にAPPの償還再投資を停止することの説明は削除)
・PEPP元本償還分の再投資実施(変更なし)
- PEPPの元本償還の再投資は少なくとも2024年末まで実施(変更なし)
- 将来のPEPPの元本償還(roll-off)が適切な金融政策に影響しないよう管理する(変更なし)
・PEPP償還再投資の柔軟性について(変更なし)
- 理事会は引き続きPEPPの償還再投資について、コロナ禍に関する金融政策の伝達機能へのリスクに対抗する観点から、柔軟性を持って実施する
(資金供給オペ)
・流動性供給策の監視(変更なし)
- 銀行が貸出条件付長期資金供給オペ下での借入額の返済を行うなか、理事会は条件付貸出オペと現在実施されているその返済が金融政策姿勢にどのように貢献しているかを定期的に評価する
(その他)
・金融政策のスタンスとTPIについて(変更なし)
- インフレが2%の中期目標に戻り、金融政策の円滑な伝達機能が維持されるよう、すべての手段を調整する準備がある
- 加えて、伝達保護措置(TPI)は、ユーロ圏加盟国に対する金融政策伝達への深刻な脅威となる不当で(unwarranted)、無秩序な(disorderly)市場変動に対抗するために利用可能であり、理事会の物価安定責務の達成をより効果的にするだろう
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