今週の注目点…FOMC、日銀会合、そして為替介入
今週は、週半ば以降、先進国、新興国の金融政策決定会合が集中的に予定されています。
主なところでは、水曜日がFOMC(米連邦公開市場委員会)、木曜日がBOE(イングランド銀行)、そして金曜日は日銀の金融政策決定会合の予定です。さらに木曜日は、南アフリカ、トルコの金融政策決定会合も予定されています。
このなかで、まずFOMCについては、今回は利上げを見送るとの見方が一般的なようです。米国では先週、CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といったインフレ指標が発表され、総合指数はともに前回より上昇しましたが、一方で変動の大きいエネルギー価格などを除いたコア指数は低下しました。こういったなか、利上げは一旦見送るとの見方になっているようです。
【米国8月CPI・PPI】
■米8月CPI=前回3.2%、結果3.7%
コア指数=前回4.7%、結果4.3%
■米8月PPI=前回0.8%、結果1.6%
コア指数=前回2.4%、結果2.2%
もっとも、インフレ率の水準が高いこと、そして足元、7~9月期の米景気が一部のGDP予測モデルによると前期比年率で5%前後といった過熱気味の状況となっている可能性があることなどから、11月以降の会合で利上げするとの予想は続いています。
一方、金曜日の日銀の金融政策決定会合も、今回政策変更はないとの見方が基本です。日銀総裁のインタビュー記事を受けて、マイナス金利解除など金融緩和見直しが予想より早く、年内にも実現する可能性に注目が集まりましたが、植田総裁の記者会見などを通じ、その辺については改めて確認されるでしょう。
為替相場としては、このようなFOMC、日銀会合などを受けて、「日米金利差米ドル優位拡大=米ドル高・円安」がさらに広がるかが焦点になります。その上で、さらなる米ドル高・円安となった場合は、日本の通貨当局による円安阻止介入再開の可能性も高まりそうです。
ちなみに、2022年の最初の円安阻止介入は9月22日に実施されましたが、これはFOMCの翌日、米ドル/円がそれまでの米ドル高値を更新するなかで行われたものでした。その意味では、米ドル/円の水準こそ異なるものの、2年連続でほぼ同じタイミングで円安阻止攻防劇を迎えそうな構図になっています。
円安阻止介入が実施された場合、米ドル/円の乱高下は不可避でしょう。ただ大幅な日米金利差が続くなかでは、介入による米ドル急落が一段落した後は、米ドル買いが再開されそうです。米ドル安・円高へ大きく向かうためには、米金利が大きく低下に向かうことが不可欠ではないでしょうか。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円の予想レンジは145~150円中心で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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