養子縁組で、1人当たり600万円の基礎控除を増やす
テクニック6 養子縁組をして法定相続人を増やす
相続税を下げる手段として、養子縁組をして法定相続人を増やす方法もあります。
相続税には基礎控除(3000万円+法定相続人1人当たり600万円)がありますが、法定相続人が1人増えることで、控除額が600万円増えるのです。ただし、養子を何人増やしても、基礎控除を受けられるのは1人分のみです。
子に医師がおらず、病院の後継者がいない場合に、よそから後継者となるべき医師を迎え、養子にしてから引き継がせるといった方法が採られることがあります。
ただ、養子を迎えることで、実子との間で感情的なもつれが生じたり、遺産相続の際にトラブルが起きたりしやすいので注意が必要です。
後継者に有利にキャッシュを渡せる「生命保険」の活用
テクニック7 後継者にキャッシュを持たせ、納税や払戻請求に備えさせる
後継者の子には医療関係の財産を集中させなくてはならないため、どうしても相続税や贈与税が多くかかってきます。また、出資持分が分散していれば、払戻請求を起こされる可能性がありますし、遺産分割で他の相続人と揉めれば、代償分割に応じる必要が出てくるかもしれません。
被相続人は、これらのリスクに耐えられるだけの資金力を後継者の子につけてあげなくてはならないでしょう。病院の承継だけに気を取られて、医療関係のモノだけ与え、肝心のキャッシュを渡すのを忘れる……といった事態は何としても避けなくてはなりません。
後継者の子に役員報酬を多めに支給し、納税や持分の買い取り、代償分割などの原資として蓄えさせる方法もありますが、役員報酬が多くなると個人の所得税も多くなってしまう点が課題です。
そこで、一番簡単でスマートなのが「生命保険の活用」です。キャッシュが必要になるタイミングで後継者の子に生命保険が支払われるしくみをつくっておけば、保険金をそのまま納税や持分の買い取り、代償分割などにスライドさせることができます。いわば、〝困りそうになったときに天から降ってくるお金〟を生命保険によってつくるのです。
生命保険のメリットや具体的な活用術については、改めて説明します。