前回は、争続を避けるために書いておきたい「遺言書」について、その種類などを解説しました。今回は、開業医の相続対策に「生命保険」を役立てる方法を見ていきます。

「保険金」なら法定相続人1人500万円まで非課税

テクニック13 生命保険なら相続税・医業承継・争族のすべてに対応できる

 

相続対策と生命保険は、切っても切り離せない関係にあります。生命保険は使い方次第で、相続税・医業承継・争族のすべてにオールマイティーに対応できる、いわば〝最強の相続対策〟といえるでしょう。

 

まず、基本的な生命保険のメリットとして、次のようなものがあります。

 

●控除枠がある被保険者が亡くなって保険金が支払われると、保険金はみなし相続財産となって相続税の対象になりますが、このとき法定相続人1人につき500万円の控除枠があります。法定相続人が3人いれば、1500万円までを無税で受け取れます。

 

●保険金は掛け金より多くなる生命保険には「支払われる保険金額が掛け金よりも大きくなる」ケースが多いという特徴があります。保険料を2000万円支払ったとしたら、満期や死亡時には2000万円以上になって返ってくることが大半です。加入時の年齢により変わりますので、はやい時期にご検討されることをおすすめします。

 

お金を銀行に預けても、低金利の今は微々たる利子しかつきませんし、株式投資はハイリスク・ハイリターンです。生命保険ほど安全でお得な資産運用はありません。

 

●控除枠がある被保険者が亡くなって保険金が支払われると、保険金はみなし相続財産となって相続税の対象になりますが、このとき法定相続人1人につき500万円の控除枠があります。法定相続人が3人いれば、1500万円までを無税で受け取れます。

非後継者の子を受取人にして遺産分割の偏りをカバー

●保険金は掛け金より多くなる生命保険には「支払われる保険金額が掛け金よりも大きくなる」ケースが多いという特徴があります。保険料を2000万円支払ったとしたら、満期や死亡時には2000万円以上になって返ってくることが大半です。加入時の年齢により変わりますので、はやい時期にご検討されることをおすすめします。

 

お金を銀行に預けても、低金利の今は微々たる利子しかつきませんし、株式投資はハイリスク・ハイリターンです。生命保険ほど安全でお得な資産運用はありません。

 

遺産の取り分が少なくなりがちな非後継者の子を受取人に指定しておくことで、遺産分割の偏りをカバーすることができます。また、後継者の子を受取人にしておけば、相続税納税や代償分割などの原資として活用できます。

 

●遺産分割の対象外である保険金は遺産相続の対象ではありませんから、他の相続人から「もらいすぎだ」とか「こっちにも分けろ」などと口出しされる心配もありません。

 

●保険金を現金で受け取れる保険金は現金で支払われます。また、請求してから最長でも7日で支払われます。すぐに現金が手に入るので、相続税の納税資金として活用できます。

 

●相続放棄をしても受け取れる相続放棄をすると相続財産をすべて手放すことになりますが、生命保険はそもそも受取人の固有の財産であるため、相続放棄をしても受け取ることができます。

 

●法人で入れば掛け金が損金になる支払った保険料の全額もしくは1/2、1/3、1/4が経費になります。今ある利益を法人に内部留保していくと持分評価が上がってしまいますが、損金をつくれば持分評価の上昇を抑えつつ不測の事態にも備えることができます。解約せずにおいておけば、さらに保険商品に資金をためていくことまでできるのです。

本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

井元 章二

幻冬舎メディアコンサルティング

医師一家の相続は、破産・病院消滅の危険と隣り合わせ 今すぐ準備を始めないと手遅れになる! 換金できない出資持分にかかる莫大な相続税 個人所有と医療法人所有が入り乱れる複雑な資産構成 医師の子と非医師の子への遺…

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