税務調査官の「失言」に相続人激怒…若手調査官「億単位の資産を相続した社長」への“失礼すぎるひと言”【元国税専門官が暴露】

税務調査官の「失言」に相続人激怒…若手調査官「億単位の資産を相続した社長」への“失礼すぎるひと言”【元国税専門官が暴露】
(※写真はイメージです/PIXTA)

富裕層というと、医師や弁護士、経営者など、いわゆる“エリート然”としたタイプをイメージする人は多いでしょう。ただ、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者で、元国税専門官のマネーライター小林義崇氏は、調査官時代にこの先入観によって大失敗を犯したそうです。今回は筆者の若手時代の実体験を交えながら、税務職員が「相続税の申告書で気にするポイント」をみていきましょう。

「マッサージ師や職人が富裕層」というケースも少なくない

富裕層の職業というと、上場企業の経営者や官僚、医師や弁護士などの師士業といったいわゆるエリートの姿が頭に浮かぶ人が多いのではないでしょうか?

 

ある会社経営者の相続税調査をしたときのことは忘れられません。

 

創業者が亡くなり、あとを引き継いだ息子(社長)から話を聞く必要がありました。そこで調査のアポイントメントをとったところ、「会社に来てください」といわれました。

 

調査の当日、私は会社に出向いて会議室に通されたのですが、そこにはタンクトップとハーフパンツの姿の男性が、そっぽを向いてうちわで扇ぎながら座っていました。

 

私はなにか手違いがあったのかと思い、「社長さんにお話をうかがいたいのですが」と告げると、ガバッと振り返り、「俺だよ!」と怒鳴られたのです。

 

「億単位の資産を相続した社長」ということで、スーツ姿のいかにもエリート然としたタイプを勝手にイメージしていただけに、あのときはショックで言葉を失ってしまいました。

 

相続税の申告書には、「職業」を記入する欄があります。職業によって相続税の計算が変わるわけではないのですが、職業欄の情報を税務職員は必ず気にします

 

というのも、生前の職業をヒントに、どれくらいの資産を残して亡くなったのかを推測するからです。

 

令和3(2021)年賃金構造基本統計調査によると、日本の職業別平均年収のトップは医師でした。2位以下はパイロット、大学教授と続き、やはり一般的に「エリート」と呼ばれるような職業が目立ちます。

 

ただ、相続税調査をしていると、富裕層の職業はエリートばかりというわけではありません。むしろ、私が担当した相続税事案では、官僚や大手企業勤めというケースはほぼなく、中小企業経営者や不動産オーナー、個人事業主が多かったのです。

 

たとえば、地域に密着したマッサージ師や工務店の職人など、一見すると富裕層とは結びつかない職業の人が亡くなり、その家族が相続税を申告しているケースを私は少なからず見てきました。

 

次ページ富裕層のマッサージ師や職人に富裕層が多いワケ
元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

小林 義崇

ダイヤモンド社

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