(※写真はイメージです/PIXTA)

解雇予告手当とは、通常30日前までに行う必要がある解雇予告について、これを過ぎた場合に原則会社が従業員に支払わなければならない金銭のことです。では、この解雇予告手当はどのように算出されるのか、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

【基本編】解雇予告手当の計算方法

解雇予告手当の金額は、どのように計算すればよいのでしょうか? 基本的な考え方は、次のとおりです。

 

基本の計算方法

解雇予告手当は、次の式で算定します。

 

・解雇予告手当の額=平均賃金×(30日-解雇予告日から解雇日までの日数)

 

たとえば、1日あたりの平均賃金が15,000円である従業員を即日解雇した場合の解雇予告手当の額は、次のとおりです。

 

・15,000円×30日=450,000円

 

また、この従業員を解雇日の20日前に解雇予告をした場合の解雇予告手当の額と、10日前に解雇予告をした場合の解雇予告手当の額は、それぞれ次のようになります。

 

・20日前の場合:15,000円×(30日-20日)=150,000円

・10日前の場合:15,000円×(30日-10日)=300,000円

 

原則として30日分の平均賃金の支払いが必要となり、30日に満たない場合にはその満たない日数分の平均賃金の支払いが必要になるということです。

 

平均賃金の考え方

解雇予告手当の計算式はシンプルですが、この計算をするためには、平均賃金を正しく算定しなければなりません。


平均賃金とは、労働者に解雇の通告をした日の以前3ヵ月間(賃金の締日がある場合は、直前の締日から遡って3ヵ月)にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数であり、出勤日数ではありません)で除した金額を指します(法12条)※2

※2 厚生労働省神奈川労働局:平均賃金について【賃金室】(jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/saiteichingin_chinginseido/heikinchi.html)

 

たとえば、月給が240,000円(毎月20日締め)、これとは別途通勤手当が月10,000円支払われている場合において、解雇の通告をした日である11月21日以前3ヵ月の歴日数(その企業の給与の計算対象期間)が次の場合で考えてみましょう。

 

・9月支払い分(8月21日~9月20日):31日

・10月支払い分(9月21日~10月20日):30日

・11月支払い分(10月21日~11月20日):31日

 

この場合における1日あたりの平均賃金は、次のように計算します。

 

1.この期間の賃金総額:(240,000円+10,000円)+(240,000円+10,000円)+(240,000円+10,000円)=750,000円

2.この期間の歴日数:30日+31日+31日=92日

3.1日あたりの平均賃金:750,000円÷92日=8,152.1739……→(銭未満を切捨)8,152.17円

 

原則として、この平均賃金を用いて、解雇予告手当を計算します。

 

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次ページ【雇用形態別】平均賃金の計算方法

※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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