(※写真はイメージです/PIXTA)

解雇予告手当とは、通常30日前までに行う必要がある解雇予告について、これを過ぎた場合に原則会社が従業員に支払わなければならない金銭のことです。では、この解雇予告手当はどのように算出されるのか、Authense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

解雇予告手当を支払う際のポイント

解雇予告手当を支払う場合には、次の点に注意しましょう。

 

あらかじめ弁護士へ相談する

誤解の多いところですが、解雇予告手当を支払ったからといって、解雇の有効性が保証されるわけではありません。会社の一方的な都合による解雇や就業規則に記載のない理由による解雇などは、解雇権濫用として無効となる可能性があります。

 

つまり、解雇予告手当を支払って解雇した従業員から、後日、解雇無効を訴えて訴訟を提起されるリスクは残るということです。

 

そのため、従業員を解雇する場合には、解雇を通告する前に弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士へ相談することで解雇の有効性について確認することができるほか、万が一訴訟などへ発展した場合の対応もスムーズとなるでしょう。

 

解雇理由を明確にして通知する

解雇予告をする場合には、解雇理由を明確にして通知しましょう。通知をする場合には、就業規則のどの部分を根拠とした解雇であるのかを解雇予告通知書に明記するとともに、該当箇所の就業規則のコピーを渡すとよいでしょう。これにより、就業規則に根拠のある解雇であることが明白となるためです。

 

解雇予告通知を渡した証拠を残す

解雇予告通知を渡した場合には、渡した記録を残しましょう。手渡しの場合には署名をもらったり、やむを得ず郵送する場合には配達証明付きの内容証明郵便で送ったりするなどです。

 

解雇予告通知を行っても、従業員側から通知されていないなどと主張されるリスクがあるためです。

 

まとめ…無用なトラブルを避けるためにも「解雇予告手当」は適切に支給すべし

解雇予告手当とは、解雇日から解雇予告日までの期間が30日に満たない場合に支払うべき金銭です。解雇予告手当を支払うべき場合には、無用なトラブルを避けるため、適正な解雇予告手当を支給しましょう。

 

しかし、解雇予告手当を支払ったからといって、解雇の有効性が保証されるわけではありません。解雇予告手当の支払いと解雇の有効性は別問題です。従業員側に非がない場合や、非があったとしても非の程度が相対的に小さい場合などには、解雇無効を争われる可能性があるでしょう。

 

そのような事態に備え、従業員を解雇する際には、あらかじめ弁護士へご相談ください。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

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※本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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