4―お金をかけていきたいもの~全体的にモノよりコト消費、パワーカップルは旅行や教育、趣味など
日常生活において今後(も)お金をかけていきたいものについて見ると(27の選択肢で複数回答)全体で最も多いのは「国内旅行」(39.6%)であり、次いで「貯蓄」(30.0%)、「外食・グルメ」(23.0%)、「健康・リラックス」(22.3%)、「子どもの教育」(20.5%)までが2割を超えて続く(図表3)。
一方、妻の年収700万円以上(かつ世帯年収1,000万円以上)で最多は「国内旅行」・「海外旅行」(どちらも28.3%)であり、次いで「子どもの教育」・「自分の趣味」(どちらも18.9%)、「貯蓄」(17.0%)、「健康・リラックス」・「投資」(どちらも15.1%)までが約2割を占めて続く。
また、全体と比べて「海外旅行」(全体より+14.5%pt)や「自分の趣味」(同+4.6%pt)が多く、「国内旅行」(同-11.3%pt)や「貯蓄」(同-13.0%pt)、「外食・グルメ」(同-9.8%pt)、「健康・リラックス」(同-7.2%pt)が少ない。
つまり、お金をかけたいものについて見ると、妻の年収によらず、上位には家具や家電、自動車などのモノよりも旅行や外食などのサービス(コト)があがり、近年、消費者全体の変化としても見られるように、モノ消費よりもコト消費志向が高い様子がうかがえる。
なお、パワーカップル妻では、約半数の選択肢で共働き妻全体の選択割合を下回ることを不思議に感じる方もいるだろう(16位以下は表記省略)。これは、経済的余裕から、既に日常的にお金をかけることができているために、あらためてお金をかけたいとの意識が強くない、という解釈もできるのではないだろうか。
一方で「海外旅行」の選択割合は全体を大幅に上回るが、従来から強い需要がありながらも、新型コロナ禍で抑制していた状況が表出しているのと考えられる。
一方で、パワーカップル妻に注目すると、旅行に次いで「子どもの教育」や「自分の趣味」が多いことは特徴的であると言える。「子どもの教育」が上位にあがる背景には、前稿で見た通り、パワーカップルには「小学生の子を持つ30・40代」が多く、一般的な共働き世帯と比べて子どもの人数もやや多いこと、また、自分自身も習い事や高等教育など充分な教育を受けてきた親が多いことがあげられる。
また、「自分の趣味」については、そもそもパワーカップルは経済的余裕があるために嗜好性の高い消費にもお金をかけやすいが、「DINKSの40・50代」や「独立子を持つ50・60代」といった、子育てにかかる出費がなく、自分の娯楽のためにお金をかけられる層が多い影響があげられる。