海苔業者の二代目、業界縮小でも「設備投資で3,000万円」融資を希望…銀行員が思わず感心した「40代社長のプラン」【元メガバンク支店長が解説】

海苔業者の二代目、業界縮小でも「設備投資で3,000万円」融資を希望…銀行員が思わず感心した「40代社長のプラン」【元メガバンク支店長が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業庁によると、平均して1年で約3割、3~5年で4~6割の会社が廃業に追い込まれているそうです。会社を存続させられるか……経営者の手腕が問われるのは「資金調達できるかどうか」でしょう。そこで、メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う中小企業診断士の川居宗則氏が、具体的な事例を交えながら「銀行員が融資審査で重視するポイント」を解説します。

融資希望額は3,000万円…筆者が着目した“融資ポイント”

希望の融資額は約3,000万円であり、工場に新しい製造機械を入れたいとのことでした。聞けばコンビニのおにぎり用の海苔を開発し、それを起爆剤にして事業を盛り上げたいという計画です。

 

若くて活力のある社長が熱く語るのを見て、私は強く興味を引かれました。それで実際の海苔工場を見学させてもらったのです。

 

製造工程を見ながら従来の製造方法との違いをヒアリングし、出来上がった海苔を試食したところ、その技術に驚きました。一般的なものと比べて風味が強く、厚みがあって時間が経ってもパリッと歯切れが良い海苔でした。

 

しかも当時コンビニ業界は右肩上がりで拡大しており、次々に新しいおにぎりが開発されては話題になっていたので、海苔の販売先として最も理想的だと思いました。その会社は特許も取っており堅い商売であることは間違いありません。

 

私は支店に戻って稟議書に向かい、この会社の独自性や将来性が的確に伝わるようにテキストを練り上げ、稟議に回しました。すると上席からの質問やダメ出しは一切なく、すんなりと融資が通りました。ほぼ希望額どおりに低金利で貸し出すことができたのです。

 

その会社は今もコンビニのおにぎりでエリアでは高いシェアをもっており、私が関わっていた頃より事業拡大しています。

 

 

川居 宗則

中小企業診断士

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

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※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

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