住宅ローン返済に贈与税の住宅非課税制度は利用できる?
住宅の購入資金の贈与については、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」(通称:住宅非課税制度)を適用することで、最大1,000万円までの贈与が非課税となります。
しかし、住宅非課税制度の対象となる贈与は、住宅を購入する際にもらう金銭に限定されており、金銭の用途も住宅購入資金に充てることが要件となっています。住宅ローンの返済の資金援助は金銭ですが、住宅を購入するための資金贈与ではありませんので、住宅非課税制度の特例は適用できません。
ローン返済を肩代わりする際に注意すべき贈与税の課税の仕組み
子や配偶者のローン返済を肩代わりしたことにより、子や配偶者が税務署から贈与税の指摘を受けるケースがあります。ローン返済の肩代わりをする際の注意すべきポイントは2点あり、贈与税の課税対象となる金額にも気をつけなければなりません。
住宅の購入金額は所有権割合に応じて負担
住宅の購入では、所有権割合に応じた金額を支払わなければならず、頭金とローンを合計した購入金額の負担割合は所有権割合と一致することが原則です。そのため、購入金額の負担割合が所有権割合に満たない場合、支払金額が少ない所有者はもう一方の所有者から贈与を受けたことになります。したがって、負担割合と所有権割合の差にあたる金額は贈与税の対象となります。
贈与税の対象になるのはローンの返済額ではなくローンの残高
贈与税の課税対象期間は1月1日から12月31日の1年間であり、その期間中に贈与を受けた合計金額に基づき贈与税の計算をします。贈与財産の種類や用途には制限はありませんので、毎月現金5万円の贈与を受け、そのお金からローン返済に充てても問題ありません。
しかし、ローンを組んだ時点から返済していない場合や、今後のローンの返済はすべて肩代わりしてもらう場合には、その時点でローン返済の全額について贈与を受けたとみなされます。そのため、贈与税の対象となる金額は、年間のローン返済の金額ではなく肩代わりしてもらった時点のローン残高です。
税務署のローン返済に関連した資金贈与の情報収集手段
税務署は、贈与税の申告書が提出されていない場合でも、購入資金やローン返済資金についての情報を把握しています。そのため、無申告でもバレないと思い込んでいる人は、税務署の税務調査により指摘を受け、贈与税の本税以外にも加算税・延滞税を支払っているケースが多いです。
不動産を購入した際には税務署からお尋ね文書が送付される
税務署は、不動産を購入した年の年末年始ごろを目途として、お尋ね文書を発送します。お尋ね文書の内容としては、不動産の購入資金の内訳について尋ねるもので、回答しない場合には催促されることもあります。また、親からの資金援助を受けた旨を回答した場合で、贈与税の申告をしなければ税務署から指摘を受ける確率は非常に高くなります。
なお、お尋ね文書には法的な回答義務はなく、お尋ね文書の回答を行わなくても罰則等はありません。ただし、税務署はお尋ねの回答が得られない場合でも、銀行調査などにより贈与の実態を把握できますので、贈与税の申告から逃れることはできません。
税務署は法務局から不動産の登記情報を収集している
住宅を購入する場合には、法務局で不動産登記の手続きをしなければなりません。登記情報は税務署でなくても確認することができる書類ですが、税務署は法務局と連携することで、ほとんどの不動産登記情報を把握できる状態にあります。不動産登記情報では、住宅の購入時期や抵当権の有無、登記原因などが確認できますので、その情報に基づき税務署はお尋ね文書の送付や税務調査をしています。
税務署は贈与者の相続が発生した場合に生前贈与の状況も調べる
相続税は、亡くなった人(被相続人)の遺産すべてが対象となります。相続税は被相続人の亡くなった時点の財産に課税しますが、相続税の税務調査では申告漏れの財産の有無を確認するために、被相続人の生前中の預金の移動状況も調べます。税務署は過去に遡り銀行口座の履歴を調べることができ、調査可能な期間は10年間です。
なお、生前中に被相続人が贈与していた場合でも、贈与税が非課税になる場合や贈与税をすでに納税している場合は問題にはなりません。しかし、贈与税の納税漏れがあった場合には、最大7年前の申告年分まで遡り、贈与税が課税されます。
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