商売とかけ離れた理想論に辟易…綺麗ごとばかり並び立てる「お役人」と、ワケあり入居者専門“エクストリーム大家”の攻防

商売とかけ離れた理想論に辟易…綺麗ごとばかり並び立てる「お役人」と、ワケあり入居者専門“エクストリーム大家”の攻防
(※写真はイメージです/PIXTA)

元受刑囚や生活保護受給者、元ヤクザや自己破産者、DV避難者など「ワケあり」な人たちに部屋を貸す大家のことを、ライター兼フリージャーナリストの春川賢太郎氏は「エクストリーム大家」と呼んでいます。本稿では、春川氏の著書『エクストリーム大家』から一部を抜粋し、著者が、綺麗ごとばかりを並び立てる「お役人」と繰り広げたバトルの様子を紹介します。

耐震基準への質問から始まった「論点ずらし」

この時だった。居住支援法人格を持つ、行政から見れば「好ましいエクストリーム大家」とでもいおうか。行政各所と連携密なことで知られるNPOの代表が声を張り上げた。

 

「いろいろあって社会復帰、新たな人生のスタートを切ろうという人に、耐震基準も満たしていない家に住まわせる! ああ、恐ろしい! うちはね、ちゃんと耐震基準、もちろん新基準、それも2000年基準を満たしたおうちに住んでもろうてますぅ!」

 

さらにこのNPOの代表が続ける。

 

「社会復帰した人が地域社会に溶け込めるよう、温かく迎え入れるだけの度量を持った人や、教養ある品のええ人ばかりが住んでいる地域もありますわ。もしかして、あなた、そういう方との付き合いがない? ガラの悪い地域にしか物件持ってない? そらまあ、利益追求しか目がいきませんわね!」

 

どうも筆者はアウェイに立たされたようだった。検察庁のお役人が鼻で笑っているのがわかった。筆者はやたらと絡んでくるNPO代表のほうを向き、こう問いかけた。

 

筆者「社会貢献しながら、経営を成り立たせることを考えるのはいけませんか?」

 

NPO代表はお役人を見ながら、こう返した。

 

「そういうのはね、国やお役所のご指示を仰ぎながらやることでしょう? 国あっての国民ではないのかな?」

 

検察庁のお役人とNPO法人がアイコンタクトして頷く。

 

「うちはね、引き受けた入居者の方に、これまでの過去を踏まえたうえで、ええ暮らしさせてますんや。あんたは黙って行政も面倒見切れんようなガラ悪い入居者集めて、せいぜいカネ儲けしときいや!」

 

この発言が終わると同時、大袈裟に拍手する年配の男がいた。彼もまた居住支援法人格を持つ“御用NPO”の代表だった。

 

春川 賢太郎

ライター・フリージャーナリスト

 

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エクストリーム大家

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春川 賢太郎

ライチブックス

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