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金融市場の目下のテーマのひとつ「米国の長期金利上昇」

筆者は今年3月から「米10年金利は4.5%~5.0%程度まで上昇する」と予想しており、直後に銀行危機が起きたものの、いまもこの見方は変わりません。

 

目下の米国の長期金利上昇は、ファンダメンタルズ? 需給?

目下の米国の長期金利上昇は、ファンダメンタルズというよりも、需給の観点から生じているようにみえます。

 

先にファンダメンタルズを考えると、たとえば、[図表1]に示すとおり、①インフレ期待は落ち着いたままであり、

 

[図表1]10年金利は上がったが、長期のインフレ期待はほとんど変わらず。
[図表1]10年金利は上がったが、長期のインフレ期待はほとんど変わらず。

 

ほかにも、[図表2]に示すとおり、②来年の利下げ期待も「健在」です。

 

[図表2]10年金利は上がったが、利下げ見通しは健在。
[図表2]10年金利は上がったが、利下げ見通しは健在。

 

そして、もうひとつ、③(経済の貯蓄と投資を均衡させる実質)均衡利子率・自然利子率の上昇によって、観察可能な実質金利に上昇圧力が生じている可能性も考えられます。

 

しかし、その場合には、まずはインフレ率の上昇が先立ち、これによって「実質金利が均衡利子率よりも低い」(=緩和的である)ことが認知され、実質金利が上方調整する(もしくは実質政策金利が引き上げられる)といったふうに、インフレ圧力が先立つと考えられます。

 

実際には、上述のとおり、インフレ圧力はこのところ顕在化しておらず、金融市場は、(実体経済の貯蓄と投資を均衡させる)均衡利子率の上昇を見ていないように思えます。

 

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・高田創(編著)(2017) 『シナリオ分析-異次元緩和脱出: 出口戦略のシミュレーション』、日本経済新聞出版社
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