米国10年債金利「4.5%~5.0%まで上昇」する可能性【マクロストラテジストが解説】
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金融市場の目下のテーマのひとつ「米国の長期金利上昇」
筆者は今年3月から「米10年金利は4.5%~5.0%程度まで上昇する」と予想しており、直後に銀行危機が起きたものの、いまもこの見方は変わりません。
目下の米国の長期金利上昇は、ファンダメンタルズ? 需給?
目下の米国の長期金利上昇は、ファンダメンタルズというよりも、需給の観点から生じているようにみえます。
先にファンダメンタルズを考えると、たとえば、[図表1]に示すとおり、①インフレ期待は落ち着いたままであり、
ほかにも、[図表2]に示すとおり、②来年の利下げ期待も「健在」です。
そして、もうひとつ、③(経済の貯蓄と投資を均衡させる実質)均衡利子率・自然利子率の上昇によって、観察可能な実質金利に上昇圧力が生じている可能性も考えられます。
しかし、その場合には、まずはインフレ率の上昇が先立ち、これによって「実質金利が均衡利子率よりも低い」(=緩和的である)ことが認知され、実質金利が上方調整する(もしくは実質政策金利が引き上げられる)といったふうに、インフレ圧力が先立つと考えられます。
実際には、上述のとおり、インフレ圧力はこのところ顕在化しておらず、金融市場は、(実体経済の貯蓄と投資を均衡させる)均衡利子率の上昇を見ていないように思えます。
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フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済業務および外国債券・デリバティブ等の投資・運用業務に従事。
その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。
アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年にJ.P.モルガン・アセット・マネジメントに入社、2019年同社マネージング・ディレクターに就任。ストラテジストとして、個人投資家や販売会社、機関投資家向けに経済や金融市場の情報提供を担う。2020年8月、フィデリティ投信入社。
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