(※写真はイメージです/PIXTA)

老後生活の基盤となる公的年金。日本人であれば国民年金は強制加入のため、原則65歳から年金が受け取れます。しかし、この日本には「無年金」という人も。もし親が無年金の場合、子に与える影響とは……。本記事では、長岡FP事務所代表の長岡理知FPが、Tさんの事例とともに、無年金の親とその子に与える影響ついて解説します。

FPからの「絶望の回答」

TさんがFPから指摘されたポイントは主に次の4つです。

 

①月14万円の仕送りは定年退職後には不可能

②父母が介護状態になったらもっと費用がかかる

③生活保護を申請すれば仕送り分相当の収入があるが、Tさんにまだ収入があり近所に住んでいる以上は難しいかもしれない

④Tさんが亡くなる、あるいは大病したら仕送りはできない

 

まずは生活保護の申請をしてみることに。Tさんが扶養する意思を明確に拒否すれば申請が通るかもしれませんが、父母が近所に住んでいること、ここ2年間仕送りを続けていることを踏まえると難しいでしょう。また年収が下がったとはいえ850万円の年収がある実子がいるため、厳しい判断になることが予想されます。

 

また、Tさんは投資信託や株式投資など資産運用をしたことがありません。自身の老後資金が大きく減る可能性があるため、いまからでも取り入れる必要があります。

 

Tさんが万が一亡くなる、または介護状態になったときには、両親に対してまったく支援できなくなるため、生活保護の申請が通るであろう期間までは父親を受取人にした生命保険に加入しておく必要もあります。ただし毎月の掛け金が高額では払えないため、最も安い保険を比較検討する必要があります。

 

父母が国民年金保険料を毎月納める習慣があればこのような事態にならずに済んだというのは正論ですが、それをいってもどうしようもありません。本当は親が無年金と知った時点から、両親を支えるための資金繰りを検討すべきでした。両親がまだ生命保険に加入できる年齢であれば、死亡保険に加入させ亡くなったあとでそれまで援助してきた資金の一部を回収するという仕組みも構築できます。

 

現役世代は自分のねんきん定期便の内容にしか興味がないものですが、一度、ご家族のものも(同意のうえで)お互いに確認しておくことをおすすめします。無年金、または低年金の家族がいる場合、支えることになるかもしれません。早めに対策を検討しておくことができます。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表FP

 

 

 

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