ガソリン税「1リットル53.8円」は約50年続く「特例税率」
「トリガー条項」が発動した場合のガソリン税額「1リットル28.7円」は、「本則税率」といわれます。これに対し、現在の「1リットル53.8円」は「特例税率」といわれます。1974年から適用されています。
ややこしいのですが、制度上は「1リットル28.7円」が本来の姿で、「1リットル53.8円」が特例ということになります。しかし、実際には、特例措置の「1リットル53.8円」の状態が50年近く続いていることになります。
「1リットル53.8円」の特例税率は2010年以前は「暫定税率」といわれていたものです。1974年に「1リットル53.8円」の「暫定税率」が適用され、それが現在まで引き継がれています。1974年当時、暫定税率が導入された理由は、道路整備の財源が不足しているのでその財源に充てなければならないというものでした。
なお、ガソリン税は当時、自動車重量税とともに、使い道が道路の整備・維持管理に限られる「道路特定財源」の一つでした。その後、ガソリン税は2009年以降、使い道に制限のない「一般財源」へと移行されました。そして、トリガー条項は2010年、ガソリン税の高騰を抑えるしくみの一つとして設けられたものです。
このように、ガソリン税とトリガー条項をめぐっては、複雑な歴史的経緯があります。
ガソリン税を「下げられない」事情
ではなぜ、鈴木財務大臣はトリガー条項の発動に否定的な立場をとっているのでしょうか。
実は、政府はガソリン価格の高騰が始まった当初、「トリガー条項」の発動を検討していました。しかし、ガソリン税が国・地方自治体の両方にとって貴重な税収になっていることに配慮し、発動しないことにしたのです。そして結局、一時的な「補助金」で対処することになりました。
財務省の資料「自動車関係諸税・エネルギー関係諸税(国税)の概要」によれば、ガソリン税の税収は、2023年度予算では2兆2,129億円(揮発油税1兆9,990億円、地方揮発油税2,139億円)となることが見込まれています。また、2022年2月に当時の金子総務大臣が、「トリガー条項」を発動した場合、地方自治体の税収が1年間で約5,000億円減少するという試算結果を明らかにしています。
このように、ガソリン税は国にとっても地方にとっても、貴重な税収であり、トリガー条項が発動することにより、それが大幅に減ることは避けられないといえます。
しかし、10月以降、補助金でいつまで対応できるかは未知数です。補助金の制度は一時的・時限的な性格が強いものであり、かつ、特定の事業者を優遇する側面があるので、どこまで続けられるのかという問題があります。また、物価上昇が続くなか、ガソリン税の制度を今後どうするのかが、重大な政策課題となっていく可能性があります。
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