非常事態に備えられる「簿外資産」
――2つ目は「簿外資産の重要性」です。簿外資産があれば、今回のコロナ禍のような非常事態にも備えられるので、中小企業の経営にはめちゃめちゃ助かるんですよ。
黒「『簿外資産』とは、一見怪しい響きに聞こえるかもしれませんが、正しい会計処理を行った結果決算書に載らない、つまり“会計帳簿外”にある資産のことをいいます。帳簿上は消滅していますが、決して価値がなくなったわけではありません。
簿外に貯めておいた資産を、いざというときに利益(キャッシュ)に変えることができるので、予想外に赤字が出てしまったときなどに非常に役立ちます」
――わたしも簿外資産だけで2社で3,000万円ぐらいありますが、すぐにキャッシュにできる安心感というのはとても大きいです。ちなみに、具体的にどんなものが簿外資産にあたるのでしょうか?
黒「たとえば代表的なものは、中古の社用車を買うという方法です。
車で節税するなら「4年落ちの中古車」、なかでも「4年落ちのベンツ」とよくいわれていますが、これは4年落ち(正確には3年10ヵ月落ち)の中古車は、1年で100%経費にできるからです。
車の購入費用は『減価償却』という会計処理を通して費用に落としていきます。新車の法定耐用年数は6年ですが、3年10ヵ月以上経った中古車であれば、耐用年数は2年になります。このとき、『定率法』により費用の全額を初年度に償却できるのです。
ただし減価償却は月割り計算のため、初年度に全額経費で落としたいのであれば期首に買う必要があります」
――なるほど。だから4年落ちだと、購入費用がまるっと1発で経費に落とせるわけですね。
黒「はい。しかも、ベンツなどのあまり値段の落ちない車は、購入後1年経っても価値の下落が小さいので、売却したお金が戻ってきます。
たとえば、新車価格1,000万円のベンツを4年落ち600万円で購入して、1年で100%償却したとしても、まだ3~400万円で売却できる可能性が高いです」
――つまり、全額経費で落とした段階では、決算書上は出てこない車になっているわけですが、実際には価値があるので、“数百万円の簿外資産を持っている”といえるわけですね。もし資金繰りが厳しくなったような場合でも、これを売却して資金を作ることが可能です。
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黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
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