(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では考えられないことが日常茶飯事の国、中国。東洋証券上海駐在員事務所の奥山要一郎所長は「日本がこうだから中国も同じはず」という妄想や勘違いを捨て去るのが賢明だといいます。しかし、その奥山氏でさえ、最近「中国、おかしくない?」と感じることが増えてきたそうです。いったいなにがあったのか、詳しくみていきましょう。

“外交の顔”失踪も…中国当局「提供できる情報はない」

要人が表舞台から突如として消える。そんなことが中国ではままある。

 

しかし、「外交の顔」の長期不在は異例の事態だった。当局は「提供できる情報はない」の一点張りで、真偽不明の噂や観測が浮上。新型コロナウイルス感染説、不倫関係のこじれ説、権力闘争に巻き込まれた説……。現地メディアは不在の事態や理由は一切取り上げず、ほとんどの市民は何も知らない(そもそも関心がないのかもしれないが)。

 

果たして7月25日、秦剛外相の解任が発表された。動静が途絶えてからちょうど1カ月後のことである。

 

現地駐在員の筆者が肌で感じる「中国の異変」

最近、「中国、おかしくない?」と感じることが増えてきた。自分の主張だけを強烈に押し出し、相容れない意見には罵るかの如くヒステリックに反応する。相変わらずと言えば相変わらずだが、ここに来てその度合いが大きくなった気がする。

 

ゴールドマン・サックス(GS)は7月4日付のレポートで、中国の一部銀行に対して弱気判断を示した。地方政府債務に対するエクスポージャーなどを懸念材料とし、「収益の悪化を受け、配当目標を達成できない可能性がある」という。この内容が悪材料視され、香港市場では銀行株が軒並み安となった。

 

一方、これに噛み付いたのは中国国営メディアの証券時報。「市場は悲観的な想定に基づいて中国の銀行について弱気な見解を示すべきではなく、否定的な論拠は事実を誤って解釈したものだ」と、半ば上から目線で反論した。

 

また、国家金融監督管理総局は複数の大手行に対し、同レポートに適切に対応するよう求めたという。招商銀行は早速、「(GSの見解は)一部の投資家に誤解を与え、資産の質について懸念を生じさせた」と批判。目には目を、レポートにはレポートを。「戦狼外交」ならぬ「戦狼レポート」で対抗とでも言えようか。

 

いずれにせよ、中国当局がネガティブな市場コメントに神経をとがらせていることが図らずも示された。

 

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【免責事項等】
※本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。
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