7年で6割減の衝撃…「尋常ではない少子化」進む中国
――2023年の出生数は700万~800万人に減少する。
北京大学医学部の喬傑主任が8月上旬、こう予測した。22年は1,000万人の大台を割り込み、956万人まで減少したが、今年はさらに16~27%減る見通しだ。直近のピークは16年の1,883万人で、それと比べるとわずか7年間で約6割程度減ることになる。
いくら少子化が進んでいるとはいえ、この減り具合は尋常ではない。
中国語で「老齢化、少子化、不婚化」とされる社会の大変化。これらをひとつずつ見ていこう。
中国の「高齢化」事情
まずは老齢化(高齢化)。中国の高齢化率(65歳以上の人口割合)は14年に10%を超え、22年は14.9%まで上昇した(日本は29.0%、22年10月1日現在)。
「中国人口予測報告2023版(23年2月)」によると、この割合は低く見積もっても32年に20%を超える。50年には32.54%で、人口ベースで3億8,200万人に増加するという。
その後も60年に40.17%、78年に50.39%まで高まる予想だが、ここまで来ると「2人に1人は65歳以上」という想像すらできない(したくもない?)高齢化社会だ。
中国の「少子化」事情
次に少子化。冒頭にもあるように出生数が右肩下がりだ。「中国人口予測報告」は23年出生数を903万人(低位推計)と予想するが、現実的には800万人を割り込む可能性もある。
少子化の背景には、「子育てよりも個人の自由を重視する」というライフスタイルの変化、医療費や教育費の高騰など様々な要因があるとされる。若者の間からは「子育てはコスパが良くない」との声も聞かれるほどだ。
世界銀行によると、中国の21年の合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性の年齢別出生率の合計)は1.16で、日本の1.3を下回っている。22年の数字はまだ出揃っていないが、上海は0.7とされ、東京の1.12(21年)より大幅に低いようだ。