(画像はイメージです/PIXTA)

日本の法律では、人が亡くなってから24時間以内は、火葬・埋葬をすることができないと定められています。それまでに安置する場所として自宅、葬儀社、火葬場といったような選択肢がありますが、この選択を誤ると、大切な方とのお別れに後悔が残ってしまいます。

火葬・埋葬のできない死後24時間…遺体はどこに安置する?

いまの日本では、大半の方が病院、もしくは介護施設で亡くなります。人は亡くなったあと、24時間以内は火葬・埋葬することができません。これは「墓地・埋火葬に関する法律」によって定められており、死亡確認後、万一蘇生する可能性に配慮したものです。

 

しかしながら、現代医学において死亡確認後に蘇生した事例はなく、したがってこの条文も、医学が今ほど発展していなかった時代の名残りといっていいのかもしれません。

 

とはいえ、この法律を遵守するためには、24時間はどこかにご遺体を安置しておかなければならないのですが、実はこれが、ご遺族にとって非常にセンシティブな問題となりかねないのです。

 

病院や介護施設で亡くなったら、すぐにご家族へ連絡が行きますが、同時に、速やかにベッドや居室を空けるよう要請されます。

 

その後は、ご遺体の安置場所を自宅にするか、自宅以外の場所にするか、2つの選択肢から選ぶことになります。

自宅に帰し、最後のお別れをするケース

最近はマンション住まいの方も多いため、自宅に安置するケースは減少傾向のようですが、地方都市などの一軒家の場合は、自宅への安置を選ぶ方が多いようです。

 

自宅であれば、ご遺族と故人が一緒に過ごす時間を持てますし、親族や近所の方なども訪問しやすく、お線香を上げるなどしてお別れの時間を設けることもできます。

 

ご自宅への安置を希望される場合、道路が狭くてご遺体を運ぶ車が自宅前までつけられない、エレベーターのないマンションの上階に運ぶ必要がある、大規模タワーマンションに居室がある…などなど、ご遺体の移動に懸念があるケースも多々ありますが、それでも連絡を受けた葬儀社は、都度さまざまな方法を考えて、ご遺族の思いに沿えるよう努めています。

安置室を所有する葬儀社なら、心残りなくお別れできるが…

問題となるのは、ご自宅に帰れないケースです。その場合、火葬場や斎場(セレモニーホール)などのいずれかに安置することになりますが、葬儀を依頼した葬儀社が安置室のある会館を持っているかどうかがカギになります。

 

安置室があればなにも問題はなく、その場所にご遺体を安置し、お通夜・葬儀が執りおこなわれるまでの間、親戚や近所の方々が故人にお別れを伝えることができます。

 

しかし、安置室がない場合、あるいは葬儀会館を持たない葬儀社の場合は「ご遺体をどこに運べばいいのか」という問題に直面します。

 

このようなケースでは、たいてい「火葬場の霊安所」でご遺体を保管することになります。

 

「預かってもらえるのなら、別に問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそこに落とし穴があります。

 

火葬場の遺体安置所は、棺に入ったご遺体しか預かってもらえないため、自前で安置室を持たない葬儀社の場合、大切な納棺の儀が端折られてしまうのです。つまり、個室の安置室がある会館を持つ葬儀社なら、お通夜の前に納棺の儀を丁寧に執りおこなえますが、その重視すべき大切な儀式が省かれてしまう、ということです。

 

また火葬場の遺体安置所は、棺ごと冷蔵されて保棺するケースが多いため、ご遺体と対面したいときには、冷蔵室から他様も共有している遺体安置所へご遺体を運びだすことになります。また、ここでは防火上お線香などをあげることができず、面会も拝顔する程度になり、お供えものも手向けることが叶わないのです。

葬儀を依頼する際に「故人の安置場所」について必ず確認する

ご家族やご友人、ご親戚が亡くなった直後というのは、最も悲しく、気持ちもセンシティブになっています。そのようなデリケートな時間を、落ち着くことが難しい火葬場の遺体安置所で過ごすのは、ある意味ショックな経験で、見送る側としても「きちんと送れなかった」という後悔の気持ちが残ってしまいます。

 

また、遠方の親族などは、訃報を受けてから駆け付けるまでに多少の時間を必要とします。自宅に安置する場合や葬儀社の会館に個室の安置室があれば、親族も含めて全員が揃うまで、そこで時間を過ごすことができますし、故人と最後のお別れをしたいと思っている方々の気持ちに応えることもできますが、火葬場の遺体安置所では、それが叶いません。

 

もちろん、ご遺族がそれでかまわない、大丈夫と判断される場合もあると思いますし、それなら、その選択が正しいのです。しかし、そうではないのなら、葬儀社を選ぶ際に、まずお通夜・葬儀がおこなわれるまでのあいだ、どこに故人を安置することになるのか、必ずチェックするようにしましょう。

 

故人と過ごす最後の時間は、文字通り、一度限りです。後々、悔やむことのないよう、時間のないなかではありますが、しっかりと考え、検討されることをおすすめします。

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