変動金利型に潜む「未払い利息」のリスク
変動金利型には、「未払い利息」というリスクがあります。
ごく一部の金融機関を除き、変動金利型には、「返済額を25%までしか増やさない」というルールがあります。たとえば毎月の返済が10万円で、金利上昇によって13万円になるとしても、最大で12万5,000円(10万円の25%増)までしか上がりません。
負担が抑えられていいようにみえますが、大間違い。返済した額からはまず利息が引かれ、残りが元金の返済に回るため、金利が上がれば元金の返済に回る分が少なくなります。つまり、普通に返済していても、元金が減るペースが鈍ってしまうのです。
返済額が25%増になるだけでもかなりのダメージですが、そのうえ元金が減りにくくなる。さらに金利の上がり方によっては残債がまったく減らない可能性もありますし、最悪の場合、利息さえ払いきれない(未払い利息が発生する)可能性もあります。
もし未払い利息が発生すると、返済期間終了時に、残りの元金と未払い利息を一括で返済するように請求されます。これは住宅ローンも同じです。
住宅ローンを返済中の方でも、ほとんどがこのルールを知りません。銀行から毎年、償還予定表が送付され、そこにローンの残債額が記載されていますが、見ていない人も多いようです。
日本では、長い間金利が上がらなかったので、知らなくても問題ありませんでしたが、これからはそうもいかなくなりそうです。変動型のリスクをしっかり理解し、変動型と固定型のどちらを選ぶか、慎重に検討する必要があります。また金利が上がれば返済額が増え、借入可能額にも影響すると考えられます。
滝島 一統
株式会社光文堂インターナショナル
代表