●日本だけでなく世界的に「ビルドアップのときにサイドバックは広がるべき」というポジショニングが常識になっているだろう。確かにそうするとフリーでパスを受けることはできる。
●しかし、同サイド圧縮といった守備戦術の進化により、もはやこの常識は常識にしてはいけない。サイドバックがフリーでパスを受けられるものの、そのあとにプレスの標的になりボールを失う場面が多々見られるのだ。
●「サイドバックは低い位置で張ってはいけない」。それが新常識である。
「場所基準」ではなく、「人基準」でエリアを定義
ピッチの上ではボールも人も動くため、「5レーン理論」のように「場所基準」の考え方には限界があることを、前講義で指摘しました。
では、どう定義すべきか? 僕は図表1のように、相手の立ち位置を基準にする「人基準」でエリアを定義しています。
たとえば「ハーフバイタル」は、相手のセンターバック、サイドバック、ボランチ、サイドハーフに囲まれたスペースのことです。人基準のため、「ハーフバイタル」の広さはこの4人が動くごとに伸びたり縮んだりします。攻撃の際に常に誰かが立っておくべきなのが「ファジーゾーン」です。
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▼ファジーゾーン
ボールを受けたときに、相手最終ラインに前向きで仕掛けられる位置(=相手サイドバックと相手サイドハーフの中間のスペース)。
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もしここにウイング(サイドハーフ)がいると相手陣形を横に広げられるだけでなく、相手サイドバックと相手サイドハーフにどちらが対応するかの選択を迫り、迷わすことができます。