(画像はイメージです/PIXTA)

人々を熱狂させるプロスポーツには、景気や株価を上向きにする力があります。日本が世界の壁を破るにはどんな戦術が必要なのでしょうか? Leo the football氏(著)、木崎伸也氏(構成)による書籍『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、真理の一つ「サイドバックは低い位置で張ってはいけない」を見ていきましょう。これを5大リーグで実践している監督はペップ、アルテタ、シャビ、トゥヘルなどかなり少数ですが、実践者たちが結果や一定の成果を残していることは紛れもない事実。サッカー観戦がもっとアツくなる知識を紹介します。

サイドバックがボールを受けるべきではないエリア

こういう定義をしたうえで「サイドバックがボールを受けるべきではないエリア」について話をしたいと思います。みなさんはサイドバックは図表1の中のどこで受けてはいけないと思いますか?

 

出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)
[図表1]「サイドバックがボールを受けるべきではないエリア」はどこか?(※再掲) 出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)

 

答えは「サイドフロント」。

 

サイドバックは低い位置で張ってはいけないんです。そこでボールを受けると、相手のプレスにめちゃくちゃはまりやすいからです。

 

-----------------------

▼サイドフロント

相手サイドハーフの斜め前にあるタッチライン際のエリア(図表2)。

-----------------------

 

出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)
[図表2]サイドフロント 出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)

 

ビルドアップの際、「サイドフロント」は大外にあるため比較的マークが緩いエリアではあります。それゆえにパスを受けやすい場所になっています。

 

しかし、パスを受けたあとに問題が生じます。もともとタッチラインがあるためピッチを180度方向にしか使えず、相手がプレスをかけてきたらパスコースをさらに限定されるからです。もし相手が「同サイド圧縮」をかけてきたら、パスコースはほぼ消滅します。

 

図表3にその状況を示しました。相手が「同サイド圧縮」をかけてバックパスのコースをしっかり消したら、もはやパスコースはないことを見て取れると思います。こうなったらクリアするか、一か八かでドリブルやワンツーを仕掛けるしかありません。

 

出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)
[図表3]「同サイド圧縮」をかけられたらパスコースはほぼ消滅 出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)

 

あらためて断言します。ビルドアップにおいてサイドバックを低い位置で張らせてはいけません。

 

にもかかわらず、4バックを採用しているチームの多くが、いまだにサイドバックを低い位置で張らせていますよね。それが多くのチームがGKからのビルドアップに挑戦しながら、なかなかうまくいかない理由のひとつになっています。

 

3バックのチームはもともとサイドバックがおらず、「サイドフロント」に立つ人はいないので自動的に解決されることが多いのですが、4バックのチームでは問題になり続けています。そろそろ誤った古い常識は、あらためられるべきでしょう。

「ハーフフロント」に立てば相手をコントロールできる

では、サイドバックはどこに立てばいいのか? 答えは「ハーフフロント」。もしサイドバックが「ハーフフロント」でボールを持てたら、タッチライン際にいるときとは異なり、内側と外側にパスコースを持つことができます。

 

--------------------------------

▼ハーフフロント

相手FWの脇のエリア(相手サイドハーフと相手ボランチの間の前方にあるエリア)。

--------------------------------

 

メリットをイメージしやすいように、「ハーフフロント」にサイドバックが立った例を図表4に示しました。右センターバックがボールを持ち、前方へのパスをうかがっています。

 

出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)
[図表4]「ハーフフロント」にサイドバックが立った例 出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)

 

図表4を見ると、相手サイドハーフに対して、サイドバックにつくか、ウイングにつくかの二択を迫れていることがわかると思います。

 

二択の状況をつくれたら、あとは「後出しジャンケン」です。相手の出方に応じて、マークされていない方に出せばパスが通ります。

 

--------------------------------------------------------------

【選択1】相手サイドハーフがサイドバックについてきたら、センターバックはウイングにパスを通す(1つ飛ばしのパス)。

 

【選択2】相手サイドハーフがウイングについてきたら、センターバックはサイドバックにボールを渡す(サイドバックはそこから内側にくさびのパスを狙える)、相手のプレスがなければセンターバックが運ぶ形もあり。

--------------------------------------------------------------

 

サイドバックが「サイドフロント」に立つと簡単に追い込まれてしまうのに対して、「ハーフフロント」に立つと選択肢が複数あるので相手をコントロールできます。

次ページ【実例】アーセナルvsバルセロナ(21-22シーズン)

※本記事は、サッカー戦術分析YouTuber・Leo the football氏著、木崎伸也氏構成の『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)より抜粋・再編集したものです。

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理

著者:Leo the football
構成:木崎 伸也

KADOKAWA

「ミス待ちサッカー」で世界の壁は越えられない。 日本一チャンネル登録者数が多いサッカー戦術分析YouTuber「 Leo the football」が、日本全体の戦術レベルを底上げする〈知性を使ったサッカーの原則〉を徹底解説。 …

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧