サイドバックがボールを受けるべきではないエリア
こういう定義をしたうえで「サイドバックがボールを受けるべきではないエリア」について話をしたいと思います。みなさんはサイドバックは図表1の中のどこで受けてはいけないと思いますか?
答えは「サイドフロント」。
サイドバックは低い位置で張ってはいけないんです。そこでボールを受けると、相手のプレスにめちゃくちゃはまりやすいからです。
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▼サイドフロント
相手サイドハーフの斜め前にあるタッチライン際のエリア(図表2)。
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ビルドアップの際、「サイドフロント」は大外にあるため比較的マークが緩いエリアではあります。それゆえにパスを受けやすい場所になっています。
しかし、パスを受けたあとに問題が生じます。もともとタッチラインがあるためピッチを180度方向にしか使えず、相手がプレスをかけてきたらパスコースをさらに限定されるからです。もし相手が「同サイド圧縮」をかけてきたら、パスコースはほぼ消滅します。
図表3にその状況を示しました。相手が「同サイド圧縮」をかけてバックパスのコースをしっかり消したら、もはやパスコースはないことを見て取れると思います。こうなったらクリアするか、一か八かでドリブルやワンツーを仕掛けるしかありません。
あらためて断言します。ビルドアップにおいてサイドバックを低い位置で張らせてはいけません。
にもかかわらず、4バックを採用しているチームの多くが、いまだにサイドバックを低い位置で張らせていますよね。それが多くのチームがGKからのビルドアップに挑戦しながら、なかなかうまくいかない理由のひとつになっています。
3バックのチームはもともとサイドバックがおらず、「サイドフロント」に立つ人はいないので自動的に解決されることが多いのですが、4バックのチームでは問題になり続けています。そろそろ誤った古い常識は、あらためられるべきでしょう。
「ハーフフロント」に立てば相手をコントロールできる
では、サイドバックはどこに立てばいいのか? 答えは「ハーフフロント」。もしサイドバックが「ハーフフロント」でボールを持てたら、タッチライン際にいるときとは異なり、内側と外側にパスコースを持つことができます。
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▼ハーフフロント
相手FWの脇のエリア(相手サイドハーフと相手ボランチの間の前方にあるエリア)。
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メリットをイメージしやすいように、「ハーフフロント」にサイドバックが立った例を図表4に示しました。右センターバックがボールを持ち、前方へのパスをうかがっています。
図表4を見ると、相手サイドハーフに対して、サイドバックにつくか、ウイングにつくかの二択を迫れていることがわかると思います。
二択の状況をつくれたら、あとは「後出しジャンケン」です。相手の出方に応じて、マークされていない方に出せばパスが通ります。
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【選択1】相手サイドハーフがサイドバックについてきたら、センターバックはウイングにパスを通す(1つ飛ばしのパス)。
【選択2】相手サイドハーフがウイングについてきたら、センターバックはサイドバックにボールを渡す(サイドバックはそこから内側にくさびのパスを狙える)、相手のプレスがなければセンターバックが運ぶ形もあり。
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サイドバックが「サイドフロント」に立つと簡単に追い込まれてしまうのに対して、「ハーフフロント」に立つと選択肢が複数あるので相手をコントロールできます。