●ここ数年、日本サッカー界で最も流行した戦術用語は「ポジショナルプレー」ではないだろうか。選手の立ち位置によって攻撃で優位に立つという考え方で、Jリーグでも「5レーン」という言葉をよく耳にするようになった。
●だが、はたして日本に伝わっているそれらは正しい理論なのだろうか? 本講義では誤った認識を指摘し、ポジショナルプレーを成立させるために不可欠な「正対理論」を説明する。
ポジションの最適解とは?
「ポジショナルプレー」を語るうえで、まずはペップ・グアルディオラの書籍『ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう』(著マルティ・パラルナウ/東邦出版)の中に出てくる説明を紹介したいと思います。
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【ポジショナルプレー(ポジションプレー)】
選手が動きながら的確なポジションを保ってパスを循環させることで相手チームの秩序を壊し、自チームの攻撃の態勢を整え、ゴールを狙うサッカーの1つのスタイル。またボールを奪われた後、素早く激しいプレッシャーでボール奪還を可能にするのも特徴。グアルディオラのサッカーに象徴される。対極にあるのがゴール前を守ってカウンターを仕掛けるスタイル。(『ペップ・グアルディオラ キミにすべてを語ろう』より)
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ようはポジションを考えてボール循環させられたら相手の守備組織を破壊でき、逆に失ったときには守備にすぐ移行できる、っていうことですよね。
その後、日本で「ポジショナルプレー」が広まっていく中で、「質的優位」、「数的優位」、「位置的優位」という枝葉もついてきましたが、本講義では幹となる「ポジションをどう取るか」についてのみ考えたいと思います。