糖質のとりすぎで発生する老化促進物質「AGEs」
活性酸素によって体をサビつかせる「酸化」だけでも老化のスピードを速め、体に受けるダメージが大きいのですが、さらに老化を加速させる要因に「糖化」という現象があります。
糖化反応(メイラード反応)とは、体内の余分な糖分がタンパク質と結びつく反応のことをいいます。1912年にフランスの科学者L.C.メイラード博士が提唱したことから名づけられました。
糖質は私たちにとって大事なエネルギー源であり、糖がなければ脳も体も働けません。
しかし、この糖質も食べすぎや甘い物の摂りすぎなどが続いて過剰になると、エネルギーとして使われなかった糖質がタンパク質と結びつき、これに体温つまり熱が加わることで“AGEs”(終末糖化産物)という強力な毒性の強い老化促進物質をつくり出します。この糖化現象は、酸化が「サビつかせる」のに対して、「コゲつかせる」と一般には表現されています。
身近な例では、ホットケーキを焼いたときの反応がわかりやすいでしょう。牛乳や卵に砂糖を混ぜて焼くと、こんがりと褐色に変化して美味しそうな香りを放ちます。これがメイラード反応、つまり糖化反応です。砂糖を煮詰めたときの「カラメル化」も、醤油や味噌の風味をよくする反応も同様です。私たちの食欲をそそる「こんがり」「よい香り」「風味を増す」という食品に関してはメリットの多い反応が、体の中で起こるとなると話は変わってきます。
お互いに影響し合いながら進行する「酸化」と「糖化」
このAGEsが体内に溜まると、体を構成する組織がもろくなってしまいます。AGEsが皮膚を構成しているコラーゲンと結びついて溜まるとシミやシワ、たるみができ、血管に溜まると弾力性は失われて動脈硬化が促進され、骨に溜まると骨がスカスカになる骨粗しょう症になり、脳に溜まるとアルツハイマー型認知症にもつながっていきます。
酸化と糖化は、お互いに影響し合いながら進行していくという厄介な関係にあり、どちらかにだけ注意すればいいというものではありません。酸化と糖化が進むと、老化が急速に進行する一方、これらを抑えられれば老化のスピードは緩くなります。
元気で若々しくパワフルであるためには、酸化とともに糖化を防ぐことも大切です。