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相続した土地まで失い、借金だけが残ったケース
小川さん(仮名)は、地方で居酒屋を複数店経営していました。3年前まで経営は順調で、その地域ではかなり高水準の収入を得ていました。生活にゆとりがあったことと、親から土地を相続していたことから、10年前、そこに建物だけで4000万円もする立派な注文住宅を建て、家族で暮らしていました。
しかし、3年前のコロナ渦で状況が一変。経営状況が急激に悪化しました。各店舗の規模が大きかったことから、国の支援ではとても立て直しが追いつかなかったといいます。小川さんの収入は激減し、ローンの返済が生活を圧迫していたことから、やむを得ず売却を決断しました。
その際、ローンが3200万円以上残っていたのですが、同価格で家を売り出しても買い手がつかず、最終的には銀行の承諾を得たうえ、3000万円で任意売却しました。10年前に建物だけで4000万円かけた家が、土地まで含めて3000万円でしか買い手がつかなかったのです。
結局、小川さんは相続した土地も失い、差額の200万円以上の借金だけが残りました。
「安い土地に建てた立派な家」は、資産価値が下がりやすい
小川さんのケースは、典型的な資産価値の下がりやすいパターンでした。つまり、地方の土地価格の低い地域で、必要以上に立派な建物を建てたケースです。
当然のことながら、建物は年々資産価値が落ちていきます。最後、解体費まで考慮するとゼロではなくマイナス、つまり負債になります。一方で土地は、もちろん変動はありますが、余程の僻地でない限りゼロになることはありません。
そのため、たとえば5000万円の家を購入するにしても、「土地3500万円+建物1500万円」の家を買うのと、「土地1500万円+建物3500万円」の家を買うのでは、前者の方が将来的な資産価値が残りやすくなります。
つまり、土地の需要が低く安い地域で、建物にお金をかければかけるほど、将来的な資産性は低くなるのです。
資産性が高いのは「好立地で建物のコストを抑えた家」
逆にいうと、資産性の高い家とは「建物のコストを抑え、土地にお金をかけた家」ということになります。簡単にいうと、「需要がある地域」の「それなりに広い土地」に「小さな建物を建てる」ことで、資産価値の下落リスクを下げることができるのです。
もちろん、家は家族と長く生活する場所ですので、資産性だけでなく住み心地も大切ですから、資産性を犠牲にして建物にある程度お金をかけたとしても、決して無駄だとはいえません。
しかし、せっかく「将来資産になるから」という理由で持ち家にするのであれば、もう少し「将来の資産性」という観点を頭に入れて家選びをしてはいかがでしょうか。
加藤 康介
ライフソレイユ株式会社 取締役
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