年収600万円もあるのに?…40歳フリーランス〈公的年金シミュレーター〉がはじき出した衝撃の年金額に「なにかの間違いではーッ!!」【FPが解説】

年収600万円もあるのに?…40歳フリーランス〈公的年金シミュレーター〉がはじき出した衝撃の年金額に「なにかの間違いではーッ!!」【FPが解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

少子高齢化の進展により、年金の減額もやむなしと思われている昨今ですが、実際にもらえる年金を心配している現役世代は少なくないでしょう。フリーランスの年金額と会社員の年金額についてみていきます。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

簡単に将来の年金額がわかる「公的年金シミュレーター」

生徒:私は今年40歳で、ずっとフリーランスのWebデザイナーとして働いています。まだ結婚はしていません。将来どの程度年金をもらえるのでしょうか?

 

先生:まずは「ねんきん定期便」を見る必要があります。そこには、私たちが将来受け取ることができる年金の情報を記載されていますよ。

 

生徒:そういえば家に送られてきますが、しっかりと読んだことはなかったです。簡単に計算する方法はないでしょうか?

 

先生:では「公的年金シミュレーター」を利用してみましょう。年齢と年収と、これまでの働き方を入力すれば、将来もらえる年金を試算することができます。65歳から年金を受け取るものとして考えてみましょう。

 

★会社員とフリーランスの年金の違いについてはこちらをチェック!

「ねんきん定期便」で知った驚愕の年金額!年収600万円・40歳フリーランスの悲惨な老後生活どうする?

「国民年金の手取り額は年間66万円、月額5万円ぐらいです」

生徒:私はいま、国民年金に加入しています。毎月の保険料は16,000円ちょっとだったと記憶しています。国民健康保険の保険料と合わせて、毎月4万円くらい支払っています。

 

先生:厚生年金に加入していないアルバイトの方や、自営業者であるフリーランスの方は、基本的に将来もらえる年金は国民年金だけとなります。20歳から60歳までの40年間、年金保険料をすべて納めていた場合、令和5年度の場合だと、将来の国民年金は年額で80万円くらいですね。ただし、公的年金シミュレーターによれば、税金と社会保険料を合計して14万円差し引かれるから、手取り額は年間66万円、月額だと5万円くらいでしょう。

 

生徒:ええっ!? たったそれだけですか? 私の友人は月額15万円くらいだいっていましたが…!

 

先生:そのお友達は、会社員ではありませんか?

 

生徒:そうです。彼は経理の事務職員で、正社員として働いているサラリーマンです。年収は、私と同じ600万円くらいです。

 

先生:会社員は自営業者と違い、厚生年金に加入しています。老後受け取れる厚生年金の額は、給与の大きさに応じて決まりますが、国民年金と厚生年金の両方の年金を受け取ることができるのです。日本人の平均給与は男性で約570万円、女性で約280万円といわれていますが、仮に年収600円だとすると、将来もらえる厚生年金は200万円くらいになります。ただし、公的年金シミュレーターによれば、税金と社会保険料を合計して22万円差し引かれますから、お友達がおっしゃるように、年金の手取り額は15万円くらいでしょう。

 

生徒:そんなに違うんですか…?

 

先生:年収が同じだとすると、フリーランスと会社員の年金の差は、1ヵ月あたり10万円くらいになります。いまは人生100年時代ですから、これを一生涯で考えてみるとこの差は大きいですね。仮に65歳から30年間生きたとすると、毎月10万円の差が30年間続くわけです。合計で3,000万円以上の差が出てくることになります。

 

生徒:そんなに大きな差が…。私の老後資金、いったいいくら不足するのでしょう…。

 

先生:老後に必要とする金額は、年金の不足分だと考えればいいでしょう。老後必要な生活費から公的年金額を差し引いて、不足額を計算します。その金額が、65歳までに準備しておくべき金額ということになりますね。

 

生徒:なるほど…。

 

準備しておくべき金額 =

( 老後必要な生活費 - 公的年金 ) × 想定される老後の年数

 

先生:一般的に老後2,000万円問題といわれる論拠をご説明しましょう。まず、老後の生活費が毎月25万円必要だという統計があり、厚生年金の平均額月15万円から引くと、毎月10万円不足することになります。その不足金額を65歳から85歳まで20年間で合計した結果、2,400万円が不足するということです。

 

( 25万円 - 15万円 ) × 240ヵ月 ( 20年間 ) = 2,400万円

 

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【老齢基礎年金】受給要件や年金額は?付加年金まで【FP3級】

会社員に比べ、自営業者の老後が厳しいとは限らないワケ

生徒:老後2,000万円問題というのは、会社員の話なのですね。フリーランスの場合はどうなるのでしょうか。

 

先生:老後の生活費が毎月25万円で変わりないと考えると、国民年金の5万円しかもらえない場合、毎月20万円不足することになります。65歳から85歳まで20年間で合計すると、4,800万円が不足することになります。

 

( 25万円 - 5万円 ) × 240ヵ月 ( 20年間 ) = 4,800万円

 

生徒:そんなに大きいのですか!

 

先生:ですが、フリーランスは会社員と違い、そもそも65歳で退職する必要はありませんね。働ける限り働くことができます。あと、自営業者の場合は経費の範囲が増えて、所得税・住民税の支払い額が減るはずですので、その分を貯蓄や投資に回すことができます。ですから、一概に会社員より老後生活が厳しくなるというわけではないでしょう。

 

生徒:わかりました。ありがとうございます。NISA等を活用し、投資でもコツコツ資産形成に励んでいこうと思います。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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