かわいそう…「不遇の世代の勝ち組」年収1,000万円だった52歳会社員→「子供部屋おじさん」の弟、認知症の母、元妻の浮気。結局団塊ジュニアは“暗澹たる人生”の哀れ【FPが解説】

かわいそう…「不遇の世代の勝ち組」年収1,000万円だった52歳会社員→「子供部屋おじさん」の弟、認知症の母、元妻の浮気。結局団塊ジュニアは“暗澹たる人生”の哀れ【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

苛烈な受験戦争、バブル崩壊、就職氷河期などを乗り越えてきた「団塊ジュニア世代」。不遇の世代が老後を意識する年齢に差し掛かってきました。そのようななか、今後は親の介護や非正規雇用など、これまで団塊ジュニア世代が抱えてきた問題がますます深刻化していくと予想されています。本記事では、長岡FP事務所代表の長岡理知FPが、Sさんの事例とともに団塊ジュニア世代特有の老後の問題点について、解説します。

大企業に就職、20代で年収1,000万円超となったSさん

<事例>

 

Sさん 52歳(1971年生まれ)

・大手企業勤務 課長職を役職定年

・年収 850万円

・妻とは昨年離婚

・子供1人(大学を卒業)

・貯蓄額 1,200万円

 

Sさんは大手企業に勤務する52歳。昭和46年(1971年)生まれです。団塊ジュニア世代であったため、通学した学校は小学校から高校までマンモス校。北陸地方の田舎町にもかかわらず、小学校では学年で9クラスまであったほどです。

 

地方で優秀な公立高校を卒業し、1990年4月に都内の有名私立大学に現役で合格。当時はバブル景気の真っ只中で、同級生のなかには親に買ってもらった新車のBMWで通学する学生や、ブランドバックで通学する女子学生もめずらしくありませんでした。田舎町から上京してきたSさんには大きなカルチャーショックでした。Sさんの父親は町役場に勤務する地方公務員で、バブル景気とは無縁で高校時代まで過ごしたのです。

 

親のお金で派手に暮らす同級生を見ながら、Sさんは大学1年生の後半から古着の転売をする商売を始めました。全国の米軍基地がある街をめぐり古着をタダ同然で仕入れ、安く借りた倉庫で売るというものでしたが、学生によく売れました。

 

次第に商売の規模が大きくなり、海外に出向いて仕入れるほどに。年収は当時50歳代だった父親の年収をはるかに超えていました。稼いだお金は欲しかった高級腕時計や女性との旅行に散財。とにかく楽しかった記憶しかありません。

 

就職活動の年となりましたが、商売で広がった企業の方々との人脈があり、まったく苦労せず大手企業から内定をもらいました。受けた会社は1社のみ。面接のみで内定が出ました。スーツを着て就活し、何社も落ちていた学生たちの話をよく聞きましたが、まるで別世界のように感じました。

 

拡大させた商売は共同創業した友人に渡し、Sさんは就職することに。新卒社員でありながらすでに社会人としての立ち振る舞いを覚えていたため、同期のなかでは早くに昇進していきました。

 

26歳のときに交際していた会社員の女性と結婚。父親と長男が医師をしているという、同じ歳の女性でした。長男が生まれ、家も住宅ローンで購入。年収は20代のうちに1,000万円を超え、バブル崩壊後にもかかわらず安定した生活ができていました。

 

しかし会社員生活は決して順調ではなく、幾度か自身の営業上のコンプライアンス違反が発覚し、降格や地方への転勤を経験しました。それでも持ち前の器用さがあり30代後半で課長職になるほどでした。

 

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