(※写真はイメージです/PIXTA)

「贈与税」は贈与者の贈り物を受贈者が受け取ったときに発生する税金です。贈与税は税負担の公平性を図ったものですが、非課税制度や控除制度によって、課せられない場合もあります。本稿では、贈与税の節税対策としての制度や制度利用における注意点について解説します。

贈与税の節税対策

贈与税の非課税制度は暦年贈与制度だけでなく、次のような控除制度が用意されています。

贈与税の配偶者控除

居住用の不動産を購入するための夫婦間での贈与ならば2,000万円まで非課税となる制度です。贈与は居住用の不動産そのもの、購入資金のいずれでも構いません。また、暦年贈与と合わせて利用でき、その場合は2,110万円まで贈与税がかかりません。

 

申請方法は、贈与税の申告の際に本制度の利用も申請します。ただし、同一の配偶者間で一生に一度しか適用されず、さらに次の3条件に全て合致する必要があります。

 

・婚姻期間が20年以上

・受贈する配偶者が住む不動産または資金である

・受贈した配偶者は受贈した翌年の3月15日までに居住し、継続して居住する見込みである

相続時精算課税制度

原則として60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫に対し財産を贈与した場合、2,500万円まで非課税となる制度です。贈与税の申告書の提出期間内に「相続時精算課税選択届出書」を添付して申請します。

 

なお、贈与額が合計で2,500万円を超えた場合、超えた額に対して一律20%が課税されます。

 

暦年贈与よりも大幅な非課税制度といえますが、贈与額2,500万円分が免除されるというわけではありません。贈与税が課せられなかった金額分は、相続時に相続財産へ加算して納める必要があります。

 

また、一度この制度を利用した場合は撤回ができず、暦年贈与と併用できない点にも注意が必要です。

 

住宅取得資金贈与の控除

親や祖父母のような直系尊属から、住宅の新築・取得又は増改築等のため資金贈与を受けた場合に利用できる制度です。

 

省エネ等住宅の場合は最高1,000万円、それ以外の住宅の場合は最高500万円まで住宅取得等の資金贈与が非課税となります。贈与税の申告の際に、本制度の利用も申請します。

 

主な要件は次の通りです。

 

・2022年1月1日から2023年12月31日までに贈与した

・受贈者の合計所得金額が2,000万円以下

・(1)(2)(3)のいずれかに該当

・(1)断熱性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上

・(2)耐震等級2以上もしくは免震建築物

・(3)高齢者等配慮対策等級3以上

教育資金の一括贈与の控除

親や祖父母(贈与者)のような直系尊属が子・孫(受贈者)の教育資金に充てるため、金融機関等で教育資金口座開設をした場合、1,500万円まで非課税となる制度です(学校以外の塾や習い事の資金の場合は500万円)。

 

本制度の適用を受けたい人(受贈者)が、口座開設をした金融機関等の営業所等を経由し、教育資金非課税申告書を提出すれば非課税制度が利用できます。

 

要件は次の通りです。

 

・2013年4月1日から2023年12月31日までの期間の贈与

・受贈者が30歳未満

・(1)(2)(3)のいずれかに該当

・(1)贈与者から信託受益権を取得した

・(2)贈与者から書面による贈与で取得した金銭を銀行等に預入へした

・(3)贈与者から書面による贈与で取得した金銭等で証券会社等から有価証券を購入した

 

結婚・子育て資金の一括贈与の控除

親や祖父母のような直系尊属が子・孫の結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等で結婚・子育て資金口座開設をした場合、最大1,000万円まで非課税となる制度です(結婚に際しては300万円が限度)。

 

本制度の適用を受けたい人(受贈者)が、口座開設をした金融機関等の営業所等を経由し、結婚・子育て資金非課税申告書を提出すれば非課税制度が利用できます。

 

要件は次の通りです。

 

・2015年4月1日から2023年12月31日までの期間の贈与

・受贈者が20歳~50歳未満

・贈与者から(1)信託受益権を取得した、(2)書面による贈与で取得した金銭を銀行等に預入へした、(3)書面による贈与で取得した金銭等で証券会社等から有価証券を購入、いずれかに該当

次ページ節税対策における注意点…

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