(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、7月のアジア・マーケットを振り返ります。

ベトナム ←ピックアップマーケット

⇒株価は堅調、ドン安リスクに留意。

 

【株式市場】

◆政府による景気支援策への期待が高まる

ベトナム株式市場は、ベトナム国家銀行が追加の与信枠を発表したことや、ファム・ミン・チン首相が景気支援を目的に中小企業向けローンの金利引き下げを考慮するよう指示したことを好感。また、重点交通プロジェクトに対する投資拡大期待が高まったことも押し上げ要因となった。海外からベトナムへの直接投資関連では、中国の太陽光発電関連企業がベトナムでの工場建設を発表したことや、ベトナムを訪問したイエレン米財務長官が半導体や再生可能エネルギー分野において協力姿勢を示したことなどが市場の注目を集めた。海外投資家は4ヵ月連続で売り越し。バリュエーションは割安であり、不動産市場における流動性が改善すれば回復が期待できる。投資戦略としては、海外企業によるベトナム進出の恩恵が期待できる銘柄、若い人口構成と所得増加の後押しがある消費関連銘柄、ツーリズム関連銘柄などを長期目線で有望視できそうだ。

 

 

【為替動向】

◆ドン安リスクに留意

短期的には米国の金融引き締め観測を受けて米ドル下落は考えにくく、ドン安リスクに留意すべきだろう。一方、YCC修正が小幅にとどまったことから日銀による追加引き締め観測は浮上しにくくなっており、短期的にはドンは円に対して上昇余地がありそうだ。

 

 

【マクロ経済動向】

◆景気は底入れ

中銀が6月19日に追加利下げを行っただけでなく、政府は付加価値税率を7月1日付で10%から8%へ一時的に引き下げるなど景気対策を決定した。その結果、7月の主要経済指標は総じて持ち直している。特に鉱工業生産は底打ちから明確に持ち直しつつある。7-9月期には社債の大量償還が予定されているが、党幹部がこの問題を認識しているため、追加利下げなど必要な政策が実施されることで、乗り越えられそうだ。ベトナムの景気は底入れした後、2023年末に向けて徐々に加速すると予想する。

 

 

(2023年8月7日)

 

石井 康之

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフリサーチストラテジスト

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【投資のヒント】23年7月の「アジア株」は上昇…今後の見通しは?三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジストが「先月のアジア・マーケット」を解説』を参照)。

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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