米旅行関連株は極めて堅調
■米国の旅行関連株が極めて堅調です。米株式市場は今年に入り、米国景気のソフトランディング期待から堅調な展開となっています。中でも米旅行関連株は、持続的なリベンジ旅行需要やクルーズ船ツアーの回復から好調ぶりが際立っています。
■S&P500種株価指数でみると、ホテル、リゾート、クルーズ船などで構成する指数は、2022年末からの上昇率が+51.5%と、市場全体の+18.1%を大幅に上回りました(8月14日時点)。
23年4-6月期決算が好調
■米旅行関連株が力強く上昇している背景には、コロナ禍で抑え込まれたリベンジ旅行需要が依然として持続していることがあります。需要増に伴う値上げも収益改善につながり、旅行関連企業の23年4-6月期決算は好調で、利益見通しの上方修正が相次いでいます。
■オンライン旅行会社のブッキング・ホールディングスの4-6月期決算は、米国人の海外旅行が好調で、売上高が前年同期比+27%、純利益が同+51%となりました。同社は、23年通期の1株当たり利益(EPS)見通しを引き上げました。
■ホテル大手のマリオット・インターナショナルの4-6月期決算は、アジアと欧州を中心とした海外旅行需要が堅調で、売上高が同+14%、純利益が同+7%となりました。通期のEPS見通しは上方修正されました。
■クルーズ船のロイヤル・カリビアンの4-6月期決算は、売上高が同+61%と、コロナ禍の落ち込みから急回復し、純利益が黒字転換しました。通期のEPS見通しも大幅に引き上げられました。
今後の展開:コト消費ブームや中国の団体旅行拡大で堅調な旅行需要が続く
■これらの企業は、4-6月期決算報告における先行きの業績見通しで、引き続き堅調な旅行需要が続くとの見通しを示しています。楽観的な見通しの背景には、各国が相次いで新型コロナウイルスの感染対策を緩和した後、モノよりも体験を楽しむ「コト消費」の流れが世界的に強まっていることがあると考えられます。代表的なコト消費である旅行に対する需要は、航空券や宿泊費が値上がりするなかでも、強いとみられます。
■加えて、中国政府が8月10日に、日米欧を含む世界78ヵ国・地域への団体旅行を新たに解禁したことも追い風となりそうです。今後、中国人の海外旅行者数が一段と回復すると見込まれることもあり、世界的に堅調な旅行需要は続くと思われます。
(2023年8月17日)
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
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