DXの推進が叫ばれて久しい現在。日本はいまだ「DX後進国」のままです。しかし、企業がこのまま対策を講じない場合、2025年には最大12兆円の経済損失が生じるかもしれない「2025年の崖」が懸念されていると、株式会社GeNEE代表取締役社長の日向野卓也氏はいいます。特に、日本企業においては基幹システムや業務システムのレガシー化が一つの大きな問題となっており、将来的に大きな事業リスクを抱える可能性があると考えられます。そこで、基幹システムのDX化を進めないことのリスクと、DX化によって得られるメリットを具体的に見ていきましょう。
DXを進めないことで起こり得るリスク
基幹システムのDXを進めないことによって市場競争力の低下を引き起こす具体的なリスクとして、以下が挙げられます。
・システムダウンによる顧客離れ
・情報漏えいによる顧客信頼度の低下
・システムの複雑化により移行が困難
システムダウンによる顧客離れ
インターネットの爆発的普及や、コロナ禍によるリモートワークの推進などにより、システムの通信量は膨大になっています。そのため、基幹システムの運用開始当初には想定していなかった通信量を処理しているシステムも珍しくありません。
老朽化・旧式化したシステムでは、ハードウェア性能の限界により膨大な通信量の負荷に耐えられず、システムダウンするリスクが高まっています。さらに、一度ダウンすると、ブラックボックス化の影響で復旧に多大な時間がかかってしまいます。
基幹システムがダウンしやすく復旧に時間がかかることは、お客様の満足度を下げることにつながり、他社サービスに乗り換えられてしまう要因となるでしょう。
情報漏えいによる顧客信頼度の低下
老朽化したシステムはセキュリティ対策が十分でないことが多く、情報漏えいなどのセキュリティ事故が起きるリスクが高まっています。
情報漏えいがひとたび発生すると、顧客の信頼をいっきに失ってしまい、その回復には多大な時間がかかるでしょう。
また、顧客情報のような重大な情報が漏えいした場合、損外賠償の支払いに発展するリスクもありえます。
システムの複雑化により移行が困難
長く運用している基幹システムは、改修や機能追加が繰り返し行われてきた結果、システム構造が複雑化している傾向があります。
複雑化したシステムは、少しの変更でも不具合が生じやすかったり、他のシステムとの互換が失われていたりといった問題を抱えていることがほとんどです。
そのため、別のハードウェアへ移管したり、システムの一部にAIなどの最新技術を導入したりといったシステム移行が困難となり、ビジネスの発展を阻害する要因となりえます。
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株式会社GeNEE
代表取締役社長
東京工業大学環境社会理工学院、慶応義塾大学大学院経営管理研究科、慶応義塾大学ビジネススクール修了(MBA経営学修士取得)。国内最大手SIerである株式会社NTTデータなどで大手法人領域の事業開発・事業企画・財務企画等の業務に従事。
アメリカ・スタンフォード大学での海外研修を通じ、UCD(ユーザ中心設計)・UI/UXデザイン思考等を学ぶ。
現在、小売・流通業、製造業、食品業、飲食業、美容医療業・検査医療業の基幹システム、業務管理系システムの開発プロジェクトの他、組織全体を変革するDXプロジェクトを多数牽引。ユーザビリティの高いシステム及びスマホアプリの開発支援サービスを提供している。
GeNEEの会社概要
GeNEE開催セミナー
書籍『エンジニアが学ぶ在庫管理システムの知識と技術』
執筆者:株式会社GeNEE DX/ITソリューション事業部
製造業・小売業を中心として、適正在庫量の把握は必須です。しかし他の業務管理系システムと連携する必要などもあり、在庫管理システムの構築は年々複雑化しています。また、ただ正確な在庫量を把握すれば良いというものでもありません。生産計画や購買計画、需要予測等を考慮しながら、倉庫拠点等を含む適正なロケーション管理を実現しなければなりません。本書では、システム・エンジニアが押さえておくべき在庫管理システムの基本や適正在庫・適正配置を実現するために必要となる需要予測の手法・管理方式の仕組み、在庫管理システムに関連するシステムとの連携方法等を詳説しています。さらに、画像認識機能で効率化をもたらすAI技術や、在庫管理の精度を高めるIoT重量計など在庫管理システムと連動する最新のテクノロジー動向まで、基本の知識と最新の情報が一挙に身につく1冊です。
著者プロフィール詳細
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連載「DX化」に失敗する社長たち…彼らはなにが悪かったのか