「平均的なサラリーマン」の注文住宅購入シミュレーション
ローンの条件は、元利均等方式、金利1.0%、返済期間32年とします。6,000万円フルローンの場合、利息分が1,013万5,745円で総支払額は7,013万5,745円。月々の返済額は18万2,645円となります。
果たしてこの返済金額、都内勤務の一般的なサラリーマンにとって現実的な水準といえるのでしょうか。
東京の会社で働く会社員(平均年齢:44.0歳)の平均給与は月収41.2万円、賞与も含めた年収は666万円です。フルローンで6,000万円借りた場合、年間の返済総額は約219万円となりローン返済割合は年収の32.9%です。住宅ローンの適切な返済割合は年収の20%程度とされていますから、これは無理のある返済プランであるといわざるを得ません。
たしかに、フルローンを利用すれば頭金を用意する期間を省けるため、「マイホームがほしい!」と思い立ったときに購入できるメリットはあります。ただ、そのあとの家計は、かなり苦しくなることを覚悟しなくてはなりません。
一方、自己資金として総額の3割、1,800万円を用意した場合、同条件のローンを利用すると利息分は709万4,985円で総支払額は4,909万4,985円。月々の返済額は12万7,851円。年収に占めるローンの返済割合は23%程度となり、返済の負担感は軽減されます。
夫婦共働きの場合、世帯年収が仮に1,000万円あれば、ローン返済割合はフルローンの場合で21.9%、自己資金として3割を用意した場合で15.3%と、余裕のあるプランになります。
「2人で頑張ればなんとかなる」
たしかに表面上の返済額をみた限りでは、そういえるかもしれません。しかし、万が一病気や怪我で一方が就労不能となったとしたら、医療費の負担が発生する上、住宅ローン返済も一馬力に。家計があっという間に破綻に向かうリスクがあることを忘れてはなりません。
また、「夫婦で頑張ろう」と考えているときには想像もできないことでしょうが、日本の離婚率は35%。およそ3組に1組が離婚に至っているという現実にも目を向ける必要があります。
離婚してしまえば、マイホームに「住み続ける」か「売却する」のいずれかを選択することになりますが、売却するにしても、ローンを一括返済できる金額で売れる保証はどこにもありません。物件価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の場合、売却に際しては現金を積み増す必要があることを認識しておきましょう。
また住み続けるにしても、離婚後も「2人で協力して」返済を続けることは考えにくく、「①住み続ける方が返済を続ける」「②出ていく方が返済を続ける」「③住み続ける方にローン名義を変更する」という3パターンからいずれかを選択することになります。どのパターンを選んだとしても、夫婦であったときより負担が増すことは明らかであり、「売却する」のが現実的な選択肢となりそうです。
もちろん、病気や怪我、離婚などをきっかけにローン負担が増して最悪のケースとして破産に至る、というのは住宅ローンを利用している限り、多かれ少なかれ誰もが抱えるリスクです。ただフルローンの場合、その危険性がかなり高いということを肝に銘じる必要があります。
前出の『令和4年度住宅市場動向調査』では、「中古住宅にしなかった理由」として、57.5%の人が「新築の方が気持ち良いから」を挙げました。新築の方が気持ち良いのはごもっともですが、共働き夫婦の一方が就労不能になって収入が激減したり、離婚してしまったりするリスクを考慮すると、中古住宅も選択肢に入れ、「身の丈に合った」マイホームを探してみる必要があるといえるかもしれません。
「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策
【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法
【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」
【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説
【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】