(※写真はイメージです/PIXTA)

サッパリ上がらない日本人の給料。平成バブル崩壊以降の「失われた30年」の間、一般的なサラリーマンはこの状況を嘆きながらも、すっかり慣れ、あきらめてしまった感もある。一方、世界の主要国を見ると、日本のような状況に置かれている国はなく、かつては経済的に勝っていたはずの国々にも、抜き去られているありさまだ。実情を見ていく。

主要国「平均年収」ランキング、日本は38ヵ国中21位

なかなか賃金の上昇がみられない日本。一部の大企業では景気のいい話も聞こえてくるが、それ以外の一般サラリーマンは、ほぼ打ち捨てられた状況にあるといえる。

 

OECDによると、2022年、平均年収(名目ベース)が最も高かったのが「スイス」の97,327米ドルだった。「アイスランド」「ルクセンブルク」「米国」「ノルウェー」と続く。

 

日本は調査対象38ヵ国中21位で、前年より15%ほど減の34,393米ドルとなっている。昨今の円安の影響もあるだろうが、それにしても減額幅は相当に大きい。そして、20位につけた「韓国」と順位が逆転した。実質ベースでも順位は入れ替わっており「アジアで一番年収が高い国」の座を失った。

 

出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE ※2022年数値、単位は米ドル ※従業員(雇用者)1人当たりの平均年収(年平均賃金) ※数値は国民経済計算(National Accounts)ベースでの雇用者賃金総額を年平均雇用者数で除した値でフルタイム従業員換算ベースに補正
[図表]主要国「平均年収(名目/為替レート換算)」 出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE
※2022年数値、単位は米ドル
※従業員(雇用者)1人当たりの平均年収(年平均賃金)
※数値は国民経済計算(National Accounts)ベースでの雇用者賃金総額を年平均雇用者数で除した値でフルタイム従業員換算ベースに補正

 

なお、G7に限ると、日本は6番目となっており、最下位「イタリア」は33,202米ドルで22位だ。このままではおそらく、G7において「最も平均年収の低い国」となる可能性は高い。

30年前の給与水準を下回る日本、未来はあるか?

振り返って、1990年代の日本は、バブル景気の余韻もあり、主要国のなかでも年収は高かった。

 

しかし、2000年代に入って状況は急転。2000年2位→2001年5位→2002年8位→2003年11位と、あっという間にベスト10から転がり落ちた。

 

◆主要国の平均年収における日本の順位の推移

 

1991年:4位(24)

1995年:2位(34)

2000年:2位(37)

2005年:13位(38)

2010年:15位(38)

2015年:20位(38)

2020年:20位(38)

 

出所:出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE
※ 名目/為替レート換算
※ (かっこ)内数値は調査対象国数

 

OECDのデータによると、1995年を基準とした2022年までの賃金上昇率は、トップが「エストニア」で1,192%。以降、「ハンガリー」「リトアニア」「メキシコ」「ポーランド」と続く。ほかにも「アイスランド」は556%と、1995年から給与は5倍以上になっている。G7においては、米国が14位で249%と、1995年から給与が2倍以上になっているのだ。

 

一方の日本はというと、33ヵ国中33位で98%。調査対象の33ヵ国中、唯一100を下回った。要するに、日本だけ給与が減っているのだ。

 

ちなみに、1995年を基準とした際の賃金上昇率で、日本が初めて主要国中で最下位となったのは1998年だった。そして、初めて100を下回ったのは2001年。以降、ずっと最下位に甘んじている。なによりショックなのは、1995年基準で100を下回った国は日本だけという事実だ。

 

「失われた30年」どころか、日本経済はいまだに「失われ続けている」状態だといえる。この厳しい状況は、どこまで続くのか。

 

ますます進展する高齢化に、岸田政権が次々と繰り出す増税策。夫婦共働きでも家計は楽ではなく、とてもではないが少子化の歯止めはかかりそうにない。

 

とはいえ、2022年の給与水準を見れば、1995年の給与水準まであと2%。回復の兆しは見えてきたと信じたい。

 

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