(※画像はイメージです/PIXTA)

連日、報道を騒がせている中古車販売大手「ビッグモーター」の不祥事。行き過ぎた社員へのノルマ要求から不正に手を染めた同様の例として、東芝、スルガ銀行、かんぽ生命などが挙げられます。社員へのノルマは、大小差があれど多くの企業で求められることですが、これが不正にまで発展することは、ある共通する根深い原因が存在すると、法律事務所Zの菅野龍太郎代表弁護士と今井陽祐弁護士はいいます。どんな原因でしょうか、みていきます。

騒動の概要、問題が起きた背景

中古車販売会社大手の「ビッグモーター」が、顧客から預かった車を故意に傷をつけるなどの行為により、自動車損害保険会社に対して自動車保険の保険金を不正に請求していた問題が明らかになり、連日ニュースを騒がせています。

 

この問題を受け、大手損保会社3社は連名でビッグモーターに対し、特別調査委員会による調査実施を求め、同委員会は2023年6月26日付けで調査報告書を公表しました。同報告書では、担当者が顧客の車体を自ら損傷させる、行っていない作業や不要な作業の費用の請求をする等の不正行為が指摘されています。

 

また、連日の報道では車体の修理やこれに関する費用の請求に関する疑惑以外にも、パワハラを含む不適切な人事の処遇や、店舗周辺の道路の植木への枯葉剤の使用等に関する疑惑が取り沙汰されており、ビッグモーターの総合的なコンプライアンスに関する問題が噴出しています。

ビッグモーターだけじゃない…定期的に起こる企業の不正問題

連日報道を賑わせているビッグモーターですが、過去を振り返れば大企業の不正問題は枚挙に暇がありません。

 

総額1,500億円以上の利益を水増し…「東芝」による不正会計問題

わが国における過去10年で最大の企業不祥事としては、2015年の東芝による不正会計問題が挙げられます。証券取引等監視委員会への通報をきっかけに会計上の問題が次々と発覚し、日本だけでなく世界中に大きな衝撃を与えました。同社は2008年から2014年度第3四半期にかけて、多種多様な手段で利益を嵩上げし、不適切会計の額は1,500億円以上に上りました。

 

不動産オーナーに返済不可能な融資…「スルガ銀行」の不正融資問題

本来高いコンプライアンス体制が要求されるはずの銀行における不正も発覚しています。スルガ銀行は、投資用不動産に使用する資金を必要とするオーナーに対する融資につき、自行の融資基準を満たしていない者について書類の改ざんを行い、これを審査部門に提出するという手法で不正な融資を実施していました。偽装が疑われる件数は2014年から2018年にかけて795件に達し、金融インフラの中核である銀行においてもコンプライアンス違反が横行していることが明らかになりました。

 

顧客利益を無視した募集活動…「かんぽ生命」の不適切保険勧誘問題

国民の生活に深く関わる不祥事としては、かんぽ生命による不適切な募集活動も記憶に新しいところです。同社は、顧客に不利益が生じる不適切な乗換え契約や、高齢者を対象とした意向把握等が必ずしも十分とはいえない形態による募集活動を行いました。

 

新規契約を締結後、旧契約が6ヵ月以内に解約されると内部のノルマにカウントされないという事情から、6ヵ月にわたり保険料を二重払いさせたり、逆に既存の契約が解約されて3カ月以内に新規の契約を結んだ場合には新契約が内部のノルマにカウントされないという事情から、既存の保険を解約してから4ヵ月間無保険状態を継続させてから新規の保険を契約させるという顧客の利益を無視した募集活動をしたのです。

 

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