「役職定年」を迎える女性も増加
管理職経験者にとって、定年前に直面する問題が役職定年です。今までは管理職の多くが男性でしたが、管理職に登用される女性が増えていけば、女性も同様の問題に直面することが想定されます。
特に、役職定年は、男性にとってもモチベーションの低下の要因となっており、優秀で管理職としてバリバリ働き続けた女性であればあるほど、同じことが起こる可能性があると考えます。
※1:「65歳定年時代における組織と個人のキャリアの調整と社会的支援―高齢社員の人事管理と現役社員の人材育成の調査研究委員会報告書―」(平成30年度)をもとに日本総合研究所作成
高齢・障害・求職者雇用支援機構※2の調査を踏まえると、役職を降りた後の変化として主に4つの特徴が指摘できます。これらの特徴には、役職定年に潜む問題が示されており、男性だけではなく、女性にも起こり得る問題として、認識しておく必要があるでしょう(図表3)。
※2:高齢・障害・求職者雇用支援機構(平成30年度)「65歳定年時代における組織と個人のキャリアの調整と社会的支援―高齢社員の人事管理と現役社員の人材育成の調査研究委員会報告書―」。
「役職定年後」の4つの特徴
特徴① 就いていた役職が高い経験者ほど、「会社に尽くそうとする意欲」が低下する傾向が強い
→就いていた役職が高ければ役職定年後はそのギャップに悩み意欲が低下
(下線は筆者の考えに基づき追記、以下同)
特徴② 役職を降りた後、「職場と職種の両方が異なる」と「会社に尽くそうとする意欲」が低下する傾向が強い
→役職定年後は、今までやってきた職場や職種が変わることが多いが、新境地へのチャレンジどころか、むしろそのことは意欲の低下に
特徴③ 役職を降りた後の主な仕事・役割別にみると、主な仕事・役割が「社員の補助・応援」を行っている経験者ほど、「会社に尽くそうとする意欲」が下がっている者が多くなっているのに対して、「経営層・上司の相談・助言+所属部署の後輩社員の教育」を行っている経験者ほど、その傾向は低い
→若手と一緒に手を動かす仕事では意欲が低下するが、教育係やアドバイザーであれば意欲は下がらない
特徴④ 50歳代前半で役職を降りた経験者に比べ、40歳代で役職を降りた経験者ほど、「会社に尽くそうとする意欲」が下がっている者が少ない
→早いうちから、役職を降りてキャリアを考え直す機会があれば、意欲は低下しない