〈知らないと損〉月47万円超は要注意!年金は働き続けると減額だが…満額受け取れる「所得のある高齢者向けの年金」とは

〈知らないと損〉月47万円超は要注意!年金は働き続けると減額だが…満額受け取れる「所得のある高齢者向けの年金」とは

ひと昔前までは、多くの女性が結婚や出産を機に正規雇用の仕事を辞めていたため、定年というと男性の問題でしたが、女性の社会進出に伴い、定年は男女問わず真剣に向き合うべき問題となっています。そのようななか、健康なうちはできるだけ長く働き、収入を得て、貯金を増やしておきたいと考える人も少なくありません。一方で、年金を受け取りながら仕事を続けるときに、年金が減額されるのではないかという点は、気になるところでしょう。そこで本記事では、日本総合研究所創発戦略センタースペシャリストの小島明子氏による著書『女性と定年』(金融財政事情研究会)より、定年後の年金について解説していきます。

おひとりさま女性の「年金制度」

定年後も働き続けるため年金がなくても十分ゆとりのある生活ができる女性、あるいは、貯金も少なく生活費の捻出が厳しい女性など、生活の状況次第では、年金の繰上げや繰下げ制度の利用も可能です。

 

現時点の制度では、公的年金の支給開始年齢は、65歳ですが、希望すれば60歳から早目に受け取ること(繰上げ)や支給年齢を65歳超最長70歳までの間に先延しにすること(繰下げ)ができます。

 

繰り上げると、生涯に受け取る金額は減額されてしまいます。厚生年金を受給する人が繰上受給を行う際には、厚生年金と国民年金の繰上げを同時に行う必要があります。加えて、繰上手続を行うと、障害基礎年金、寡婦年金が受け取れなくなるなどのデメリットには注意が必要です。

 

一方、繰り下げると、逆に受取額が生涯増額されます。長生きができる人にはメリットといえますが、寿命ばかりはわかりません。受取額が増えれば、その分、税金や社会保険料の負担が増えるなどのデメリットもあります。

 

結婚していても…夫に先立たれた場合の年金

また、女性は男性よりも平均寿命が長いため、配偶者が亡くなった後の年金制度も気になるところです。国民年金や厚生年金の受給資格のある配偶者(夫)が亡くなった場合、一緒に暮らして生計を維持していた妻は、遺族年金を受け取ることができます。

 

受給の要件を満たせば、亡くなった配偶者が第1号被保険者であった場合には遺族基礎年金が、亡くなった配偶者が第2号被保険者であった場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金が給付されます。

 

遺族基礎年金の場合は、子ども(原則18歳の年度末まで)を持つ配偶者、または子どもが受け取ることができますが、遺族厚生年金の場合は、亡くなった人と生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い人が受け取れます※1

 

30歳以上の妻は、子どもの有無にかかわらず、再婚をしなければ、受け取ることができます。過去に共働きをしてきた夫婦の場合、仮に、夫の遺族厚生年金のほうが妻の老齢厚生年金よりも多い場合は、妻の老齢厚生年金との差額分は、妻に対して支払われることになります(妻の老齢厚生年金のほうが多い場合は、差額がないため夫の遺族厚生年金が支払われることはありません)。

 

夫が亡くなった後、再婚を検討される際には、その年金の差額分についても、判断材料にされることが大事だと考えます。

 

※1 日本年金機構ホームページ。

 

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※本連載は、小島明子氏の著書『女性と定年』(金融財政事情研究会)より一部を抜粋・再編集したものです。

女性と定年

女性と定年

小島 明子

金融財政事情研究会

◆女性の「定年」に実践的なヒントを提供。 ◆日本では、今後、定年を迎える女性が増加。 ◆これから定年を迎える女性たちを取り巻く現状をデータにより分析。 ◆明るい定年後を送るため、今から定年を見据えたキャリアを考…

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