(※写真はイメージです/PIXTA)

おひとりさまの場合、配偶者や子供がいる人とは少し異なる死後の準備をしておかなければいけません。本稿では、おひとりさまがやっておくべき生前準備について、特に生存中〜死亡後もさまざまなサポートが受けられる「生前契約」(死後事務委任契約)について詳しく解説します。

死後事務委任契約活用のメリット・デメリット

死後事務委任契約は自分の死後の事務を事前に委任しておけるので、契約後は安心して余生を送れるはずです。ただし、契約の際に確認しておくべき点もあります。

 

死後事務委任契約のメリット

本契約では、相続に関する遺贈以外の死後対応を委任できます。委任者(おひとりさま)が希望する葬儀・埋葬方法、どんな葬儀社に手配をするべきか等を契約内容で細かく指定できます。

 

また、病院等の医療費支払いや介護施設等の施設利用料の支払い、緊急連絡先、遺品の引き取り等も任せられます。そのため、自分の亡くなった後、利用していた病院・介護施設側が誰に連絡をとればわからない、といったトラブルも回避できます。

 

死後事務委任契約のデメリット

本契約を士業専門家や事業者に依頼すれば、基本的に有償となってしまうのがデメリットです。

 

契約締結の際は入会費や手数料、預託金も発生します。特に預託金は契約するとき受任者が預かるお金で、預託金額は百数十万円に上る可能性があります。

 

一方、預託金不要または預託金額をかなり抑えている事業者等では、委任者である利用申込者に生命保険へ加入させ、死亡保険金受取人を事業者等に指定するのが条件となっているところもあります。このように事業者等を受任者として契約する場合、大きな金銭的負担や煩雑な手続きに手間取ってしまうかもしれません。

 

死後事務委任契約の手続きの流れを解説

死後事務委任契約は口頭でも構いませんが、契約書に契約事項をまとめておかないと、どんな契約だったかを受任者が忘れてしまう可能性もあります。

 

こちらでは死後事務委任契約を契約書で締結するまでの流れをみてみましょう。

 

1.死後事務委任契約の契約内容を考える

2.受任者となってくれる人の同意を得る

3.契約書の作成を開始:士業専門家や事業者を受任者とする場合、基本的に公正証書での作成を要求される

4.契約書(公正証書の場合は死後事務委任契約公正証書)が完成

5.契約書の内容をチェックし、署名押印

 

公正証書とは公証役場にて公証人が作成してくれる書類です。死後事務委任契約公正証書は約14,000円〜15,000円で作成できます。

 

公証人は公証作用を担う公務員なので、公証人から作成してもらった公正証書は信頼性がある他、その原本を公証役場に保管するため、第三者等から偽造・変造されるリスクはありません。自分の親戚や友人・知人と死後事務委任契約を締結する場合も公正証書で作成しておけば、将来のトラブルを大きく軽減できるはずです。

 

死後事務委任契約に記載しておくべき内容とは?

死後事務委任契約では主に下表の契約内容を締結できます。

 

 

なお、遺産分与の指定は本契約による取り決めが認められず、遺言書を作成する必要があります。

 

また、委任したい内容だけではなく事務手続きを進める場合、どの窓口にどんな書類を持って届け出るか等の説明も付記されていれば、受任者はスムーズに手続きを進められるはずです。

 

死後事務委任契約にかかる費用の相場をご紹介

事業者ごとに料金は異なりますが、費用相場は概ね下表の通りです。

 

 

死後事務委任をサービスとして提供する士業専門家や事業者は、様々費用プランやオプション(追加料金で遺言の作成指南や、エンディングノートの作成サポート等が利用できる)を設定している場合があります。

 

ただし、その他に入会費や実費等も含めれば、費用負担は100万円を大きく超えるケースもあります。担当者とよく相談し、利用したいサービスと費用のバランスを考えて、契約内容を決めましょう。

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