(※画像はイメージです/PIXTA)

医学部受験は受験生全体のレベルが高いため、1つの科目どころか、1つの分野でも抜けを作ってしまうと合格は困難になってしまいます。例えば「英語はよくできるが、数学が全然できない」「得意な数学は得点源になるけれど、嫌いな化学の暗記は抜けだらけ」というように、科目や分野に抜けを作ってしまうのは絶対にNG。医学部医学科卒・綿谷もも氏の著書『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(監修:高梨裕介氏)より一部を抜粋し、本稿では「数学を勉強する時のポイント」を紹介します。

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医学部受験の数学において最も重要なのは「この3つ」

本稿では数学を勉強する時のポイントを紹介しますが、あまり細かいことは言わずに、絶対に守るべき原則のみお伝えします。

 

医学部受験の数学において最も重要なことは、①基礎の徹底、②本質の理解、③高い計算力です。たとえ難関の医学部であってもおさえるべきポイントは同じで、数学ができる人ほどこの3点が徹底されています。

 

<まずは基礎を徹底的に固める>

基礎の理解ができていない状態で難易度の高い問題集に手を出したり、難しい講義を聞くのはおすすめできません。

 

実力以上の問題演習に取り組んだ場合、ほぼ確実に上滑りを起こします。上滑りした状態ではどんなに勉強しても成績が上がらないので気をつけましょう。

 

<できるだけ早期に数Ⅲまでの基礎を習得する>

医学部受験における数学の試験範囲は数学ⅠA・ⅡB・Ⅲまでと出題分野が多く、単純に習得に時間がかかります。さらに、数学は短期間で詰め込めば伸びる科目ではないため、できるだけ早いうちに基礎力を底上げしておく必要があります。

 

現役生で学校の授業の進度が遅い場合は、自分で先取りで学習を行うとよいでしょう。

 

医学部では数Ⅲが頻出の大学が多く、数学ⅠA・ⅡBの完成度が高くても、数Ⅲで失点してしまうと大きく差をつけられてしまいます。

 

また、高校3年生になると、理科や英語などの他の科目の復習も重要であるため、数学の勉強ばかりをやる訳にもいきません。早い時期に数Ⅲまでの基礎を習得し、本番にどの分野が出題されても大丈夫な状態で入試に臨みましょう。

具体的な勉強の流れ

【(1)本質を理解する】

まずは各分野の基本の理解を大切にしましょう。数学で安定的に高得点を取るために必要なのは基礎力です。基礎力なくして応用問題を解くことはできません。

 

基礎力を身につけるにあたって重要になるのが本質の理解です。本質が理解できていないのに問題演習だけを繰り返すと、ただの解法の丸暗記になってしまいます。解法を丸暗記している場合、試験で少し問い方を変えられると対応できません。

 

本質の理解をするためには、講義型参考書を使うのがおすすめです。公式や定義の理解が曖昧である場合は、その意味や導出過程をしっかりと押さえましょう。

 

そして、解けない問題があった時は、その解法を単純に覚えてしまうのではなく、「なぜその解法になるのか」「どうしてその式変形を使うのか」といった疑問を持ち、講義型参考書と照らし合わせて解決していくことが大切です。

 

【(2)基礎問題集の解法パターンを徹底的に習得する】

基本の理解ができたら、次は問題の解法パターンを習得します。

 

解法パターンを習得する上でのポイントは、①問題集の解法を自力で完璧に再現できるまで繰り返すこと、②解法パターンを理解を伴った状態で習得していることの2点です。

 

1つ目の「問題集の解法を自力で完璧に再現できるまで繰り返すこと」には、勉強方法の大原則で紹介したアウトプットが重要です。

 

解法を習得するにあたって、1回の演習で完璧に習得できる人はほとんどいません。多くの受験生は、少なくとも3回以上繰り返しアウトプットすることで解法パターンを習得していきます。

 

医学部に合格した卒業生の中には、「苦手な問題は10回以上繰り返した」と振り返る人もいるほど、繰り返しは重要です。

 

基本問題集に載っている全ての問題に対し、記述や計算過程も含めて自力で解けるようになるまでアウトプットを繰り返しましょう。

 

2つ目の「解法パターンを理解を伴った状態で習得していること」は、すなわち本質の理解が重要ということです。

 

「問題集の問題は解けるのに、試験になると解けない」とお悩みの場合は、問題集の問題をそのまま丸暗記してしまっている可能性が高いです。

 

問題集の解答を自力で再現できることは大切ですが、解答を単純に覚えてしまうと、試験問題に対応することはできません。解法パターンを習得する際は、「なぜそのような解き方で解けるのか」を考えつつ進めていくのがよいでしょう。

 

問題集の解説では理解しきれない箇所が出てきたら、講義型参考書に戻って本質の理解を深めてみてください。

 

ただし、最初から理由づけを完璧にできる必要はありません。問題集を使い始めた時から理由づけを行うと、考えても考えても答えが出ず、習得効率が悪くなることがあります。

 

はじめは「この問題にはこの公式を使う」と一旦受け入れて演習し、慣れて余裕がでてきた段階で理由づけを行うことも有効です。

 

【(3)計算力のレベルを上げる】

「計算力」を軽く考えている受験生は多いのですが、医学部数学攻略において計算力はとても重要です。

 

受験本番は、厳しい時間制限の中でミスなく計算する力が求められます。医学部受験では少しのミスが合否を分けるため、素早く正確に計算できるよう準備しておかなくてはなりません。

 

計算が遅い・計算ミスが多い受験生の多くは、単に計算力を鍛えるための練習が足りていないだけです。計算力は練習を継続することで確実に向上します。ただし、速く・正確に計算する力というのはすぐに身につくものではありません。計算力を鍛えるためには、毎日少しずつ計算練習を行うのがおすすめです。

 

計算力が上がると試験での得点力がつくのはもちろんのこと、時間あたりに解く量が増えるため、普段の勉強効率も上げることができます。

 

【(4)問題へのアプローチを学ぶ】

解法パターンを習得したら、あとは問題へのアプローチです。解法のアプローチの整理をしておくことで、初見の問題や分野を融合した問題に対応できるようになります。

 

解法パターンを1対1で使えるようになったら、「いつ・どこで・どのように使えるのか」「なぜその解法を選択しなければならないのか」を、パターンを整理した上で習得しましょう。

 

まずは同じ分野内で解法や公式を整理し、次に分野を越えて個別の事項に関連付けを行っていく、という流れがおすすめです。

 

一例として、最小値を求める方法を挙げると、

 

●とりあえず微分する

●平方完成

●三角関数であればsinかcosで1つに整理してθの範囲で求める

●グラフを書くなど図形的に処理

●相加相乗平均

●以上が当てはまらなければ、その他の解法を考える

 

と分野をまたいで解法パターンを整理することができます。

 

模試や過去問演習で手が出ない問題に出合った時は、どうしたら一歩目のアプローチができるのか、自分はどう考えて、どこがダメだったのか、などをじっくり考えるようにしてみてください。

 

分析をしないまま新しい問題に出合うたびに解法を丸暗記してしまうと、自力で新しい問題にアプローチできるようになりません。

 

注意点として、そもそも解法パターンがしっかり習得できていない状態では、アプローチ力を身につけることはできません。

 

まずは基礎の徹底と本質の理解を優先し、基礎力を身につけてから解法のアプローチに入ることで、効率よく数学の成績を伸ばすことができます。

 

 

【執筆】綿谷 もも

医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。

医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。

 

【監修】高梨 裕介

医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師

医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。

中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。

自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。

 

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※本連載は、綿谷もも著・高梨裕介監修の書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(幻冬舎ルネッサンス)より一部を抜粋し、記事化したものです。

医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物

医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物

綿谷 もも(著)
高梨 裕介(監)

幻冬舎メディアコンサルティング

【医学部に「最短距離」で合格する方法、教えます。】 現役医大生(※書籍刊行当時)の筆者が、自身の医学部受験経験、塾の講師として医学部受験生を指導してきた経験をふまえて、医学部受験に「本当に必要なこと」を徹底解…

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