(写真はイメージです/PIXTA)

6月の消費者物価指数の調査対象品目のうち、前年に比べ上昇した品目数の割合は83.9%となりました。とくに、生鮮食品を除く「食料」については、97%とほぼすべての品目で上昇がみられました。本稿ではニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏が、23年6月の消費者物価について品目ごとの動きをみながら、23年末に向けた物価動向の見通しを解説します。

2.物価上昇品目の割合は8割越えが続く

消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、6月の上昇品目数は438品目(5月は438品目)、下落品目数は45品目(5月41品目)となり、上昇品目数は前月と変わらなかった。

 

上昇品目数の割合は83.9%(5月は83.9%)、下落品目数の割合は8.6%(5月は7.9%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は75.3%(5月は76.1%)であった。食料(生鮮食品を除く)については97%とほとんどの品目が上昇している。

 

 

3.物価上昇の中心は財からサービスへ

6月の電気代は、規制料金の値上げによって下落率が縮小したが、原油、LNG等の燃料価格の下落を反映し、7月以降は下落率が再び拡大する。コアCPI上昇率は23年夏場には2%台まで鈍化する公算が大きい。
 

物価高の主因となっていた輸入物価の上昇には歯止めがかかっており、23年6月には前年比▲11.3%の大幅マイナスとなった。このため、今後は原材料コストを価格転嫁する動きが徐々に弱まり、財価格の上昇率は鈍化することが見込まれる。
 

一方、上昇率の拡大が続いていたサービス価格は伸びが鈍化したが、その一因は全国旅行支援の影響拡大による宿泊料の伸び率低下である。

 

また、外食の伸びは3ヵ月連続で鈍化したが、原材料費の上昇を価格転嫁する動きが一段落したことが主因と考えられ、今後は人件費の上昇を価格転嫁する動きが広がることが予想される。物価上昇の中心は、これまでの財からサービスへ徐々にシフトしていく公算が大きい。
 

現時点では、電気・都市ガス料金の補助金が10月に半減された上で継続することを前提として、コアCPIは23年末まで2%台の伸びが続くと予想している。

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月21日に公開したレポートを転載したものです。

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