イノベーションに必要なのは「たった1人の同志」
ムーブメントは、社長が「たった1人の同志」を持つことから始まります。たとえば、Aさんというイノベーターがいるとしましょう。
よく、Aさんのような存在を「右腕」と言いますが、指示ゼロ経営ではそう呼びません。右腕には、「自分の意のままに操れる存在」というニュアンスがあるからです。指示ゼロ経営では、社長が信じる世界を、同じように信じ、一緒に新しい世界をつくってくれる、「1番目の同志」と呼びます。
Aさんは、「誰もやらなくても、私はやる」という、非常に勇気が要る役割を担ってくれる人です。社長は、最上級の敬意と感謝の気持ちを持って尊重しなければなりません。また、イノベーターは仲間から非難されることもあります。そんな時は、社長が体を張ってでも守る姿勢を示さなければなりません。どうすれば、Aさんのような同志は現れるでしょうか。
私にとってのAさんは、35歳も年上で、先代からの社員だったTさんです。24歳で社長に就任した当初、私を一番支えてくれた人であり、最も扱いづらかった人です。当時、新聞業界の衰退期が今まさに始まろうとしていた時で、すぐにでも新しいビジネスモデルをつくる必要に迫られていました。しかしTさんは、それに賛同してくれませんでした。
Tさんは、社内で最も影響力の強い存在です。彼が賛同しないとムーブメントは起きません。重要なポジションにもかかわらず、賛同してくれないTさんを、いつしか私は避けるようになりました。私がTさんと距離を置けば置くほど、チームとの間に深い溝ができ、ついにチームは機能不全に陥りました。
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