「社長が言ったんだから、社長の責任」…その後、社長の勇断により「指示待ち社員」が激変、始まった会社の“快進撃” 

「社長が言ったんだから、社長の責任」…その後、社長の勇断により「指示待ち社員」が激変、始まった会社の“快進撃” 
(※写真はイメージです/PIXTA)

トップダウン経営のメリットは、意思決定を迅速に行うことができる点です。しかし、会社の規模が大きくなるにつれて、社長の指示がなければ動けない「指示待ち社員」が増えてしまいます。このような状況に陥った際、どのような取り組みを行う必要があるのでしょうか。本記事では、『賃金が上がる! 指示ゼロ経営』(内外出版社)の著者である米澤晋也氏が、「指示待ち社員」を自律した社員に変える方法について、同書より一部抜粋・編集してお届けします。

 

株式会社ザカモアの「愉しさが付加価値を生む経営」

1社目の事例は、福井県坂井市で靴のインターネット販売を手掛ける「株式会社ザカモア」(西村拓朗社長)です。同社の事例からは、愉しく仕事をする風土から創造性が生まれ、付加価値をつくり出すこと、指示ゼロ経営は「動的」で、環境変化に合わせ、常に変化する経営であることが学べます。

 

同社にお邪魔すると、「ここは音楽スタジオか?」と勘違いするほどのスタイリッシュな社屋に、軽快なBGMと若い社員さんの元気な声が飛び交っています。そして、誰もが気になるであろうことは、仲間を「トニー」「リリー」「ケイト」と、ニックネーム(同社では、イングリッシュネームと呼んでいる)で呼び合っていることです。社長の西村拓朗さんは「トニー」と呼ばれています。

 

2022年8月、私は西村社長から電話で驚くべき報告を受けました。なんと、社員数15名ほどの会社で、大企業の平均賞与額を上回る賞与を支給したというのです。電話の趣旨は賞与額の報告ではありませんでした。その時に、ある課題を抱えていて、その相談の電話だったのです。

 

決して、経営に行き詰まっていたわけではなく、さらなる成長に向けた、いわば「成長痛」を抱えていたのです。私は、どこまで進化するのかと、背筋がゾクゾクしました。

 

同社は西村社長の曽祖父が創業しました。いわゆる街の靴屋さんです。西村社長は、大学在学中、休学をして実家に戻り、靴のインターネット販売を始めました。大学卒業後、2012年に代表取締役に就任し、「感動をつくる!」という経営理念を掲げ、社名を「株式会社ザカモア」に変更しました。

 

家業から企業へ転換するため、最初はトップダウン経営を実施しました。西村社長のリーダシップにより、破竹の勢いで成長を続けました。

 

しかし、会社の規模が大きくなるにつれ、トップダウン経営の弊害が露呈します。2019年、ついに社長就任依頼、初めての赤字を出してしまいました。2020年1月に、西村社長は自律型組織への転換を決意し、社員さんに伝えました。

 

「今日は、最後のトップダウンの意思決定をさせてもらいます。それは、トップダウン経営をやめるという意思決定です」

 

その言葉を聞いた社員さんは、キョトンとした顔をしていたそうです。

 

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賃金が上がる! 指示ゼロ経営

賃金が上がる! 指示ゼロ経営

米澤晋也

内外出版社

【内容】 本書の目標はズバリ、<賃金が上がる>企業を増やすことです。 しかし、賃金が上がらない時代において、“安易な賃上げ”は、かえって社員のモチベーションや企業の稼ぐ力を低下させてしまいます。そうならないため…

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