相続税路線価と基準地価との違い
基準地価とは都道府県知事が選定した基準地の価格です。あくまで基準地価を決めるのは地方自治体(都道府県)となります。
毎年1回、1人以上の不動産鑑定士が価格を審査・判定し、各都道府県は毎年7月1日時点の基準地の正常価格を9月に公表します。一方、相続税路線価は国税庁が定めて公表します。
基準地価は公示地価を補足する役割を担い、この公示地価・基準地価2つの指標をまとめた公示価格が、相続税路線価を決める参考とされます。
相続税路線価と固定資産税評価額との違い
固定資産税評価額は固定資産税・都市計画税・登録免許税・不動産取得税等の税額を算出する基礎となる価格で、各市区町村で3年に1回4月〜6月に公表されます。基準年度の前年(1月1日時点)の公示価格の7割程度が水準です。
固定資産税は市区町村が、相続税は税務署(国税庁)が、それぞれの目的と制度に基づき路線価を算定しています。
相続税路線価が設定されていない場合の計算方法とは?
相続税路線価が設定されていないときは「倍率方式」で計算します。倍率方式の計算式は「固定資産税評価額×評価倍率」です。
固定資産税評価額がどれくらいかについては、市区町村から送付される「固定資産税課税明細(納税通知書)」で確認できます。また、評価倍率がどうなっているかは「財産評価基準書」を参考にしましょう。
例をあげて計算してみます。
• 固定資産税評価額:3,500万円
• 評価倍率:2.0
固定資産税評価額3,500万円×評価倍率2.0=7,000万円
相続した宅地の値段は7,000万円となります。
相続税路線価はどのようなタイミングで使う?
相続税の申告の際に相続税路線価を使用します。国税庁が相続税路線価を公表した年の1月1日〜12月31日の間に相続が発生した場合、必ずその年に公表された相続税路線価で算定しましょう。
例えば、2023年1月〜6月の間に相続が発生した場合、前年の路線価ではなく2023年7月に発表された路線価を使用します。相続税路線価の公表前に被相続人が亡くなった場合でも、その年の7月の発表を待って、相続税の申告準備をしなければいけません。
相続税路線価の見方・調べ方を解説
こちらでは相続税路線価の見方・調べ方の手順をみていきましょう。
ステップ1:土地の所在地・路線価を確認する
「財産評価基準書」で街区番号・路線価を確認する。路線価は地域の経済事情・道路状況等で、地域ごとに大きな差があります。
評価する土地が自分で使用している土地なのか、それとも借地権・貸付地なのか等も確認します。また、財産評価基準書には地区区分(普通住宅地区・ビル街地区等)も設定されており、補正率の計算をするときに参考とします。
ステップ2:相続税路線価を基に計算する
評価する土地を計算します。評価したい土地は、1つの道路だけに面しているとは限りません。土地が2つの道路に挟まれているときはそれぞれの路線価を反映する必要があります。
例をあげ、土地が2つの道路に挟まれている場合の算定方法を取り上げます。
(例)A・B路線に挟まれた土地(二方路線影響加算)
• 地区区分:普通住宅地区(加算率:0.02)
• A路線:路線価200,000円
• B路線:路線価250,000円
• 奥行価格補正率1.00
• 地積400m2
(1)まずは正面路線を決定します。
いずれも奥行価格補正率1.00なので
• A路線→路線価200,000円×奥行価格補正率1.00=200,000円
• B路線→路線価250,000円×奥行価格補正率1.00=250,000円
B路線の金額が高いのでメイン「正面路線」、A路線を「裏面路線」とします。
(2)裏面路線はAなので、A路線の路線価に二方路線影響加算率をかけて補正します。普通住宅地区なので加算(補正)率は0.02となります。
裏面路線価200,000円×奥行価格補正率1.00×加算率0.02=4,000円
(3)正面路線であるBの1m2あたりの路線価に、1m2あたりの裏面路線の影響である先ほどの4,000円を加えましょう。
250,000円+4,000円=254,000円
1m2あたりの評価額は254,000円です。
(4)1m2あたりの評価額と地積400m2をかけます。
1m2あたりの評価額254,000円×地積400m2=101,600,000円
土地の評価額は約1億円となります。