一生懸命が逆効果に…。「また違うことを言い出した。一貫性がない」と思われてしまう“上司の行動”

一生懸命が逆効果に…。「また違うことを言い出した。一貫性がない」と思われてしまう“上司の行動”
(※写真はイメージです/PIXTA)

組織の人間関係で最も大切なもののひとつが「上司と部下」。しかし、理想通りの関係を結び、その役割をまっとうすることは非常に困難でしょう。変化への迅速な対応が求められる現在に、より適した上司と部下の関係性とはどのようなものなのか。米澤晋也氏の著書『賃金が上がる! 指示ゼロ経営』(内外出版社)より、一部抜粋・編集してお届けします。

 

「指示ゼロリーダー」のチームへの関わり方

従来型の組織では、上司と部下が一対一でつながり、「報・連・相」を繰り返しながら仕事を進めます。上司には、目標設定、問題提起、指導、進捗確認、モチベート(ヤル気を引き出す)など様々な役割が課せられます。私は、これらの役割を完全にまっとうしている上司に会ったことがありませんし、この関わり方に限界を感じています。

 

上司にも正解が分からない課題が多くあります。逐一、上司に相談していたら時間もかかってしまいます。上司が主導してPDS詳しくは第2回記事参照を回すと、変化に巻き込まれる形で、部下が疲弊してしまいます。そして、こう言います。「上司がまた違うことを言い出した。一貫性がない」と。私は、変化に翻弄されたコロナ禍において、このような場面を多くの企業で見てきました。

 

※PDS:P=Plan(計画)→D=Do(実行)→S=See(検証)という仕事の循環のこと

 

上司は、会社を良くしようと思い、一生懸命にPDSを回しているのに、それにより信頼を失い、人間関係が悪くなるという不条理が起きる可能性があるのです。指示ゼロ経営では、チーム単位で課題を持ち、PDSを回すので、これまで上司が一手に担ってきた役割がチーム内に埋め込まれます。部下は、自分たちで変化をつくり出す「仕事の主」になるのです(図表1)。それに伴い、上司の、部下への関わり方が変わります。

 

[図表1]自分たちで変化を作り出す環境の例

 

①「上司がチームの中に入り、一緒にPDSを回す」というスタイル

小さな会社や、まだ十分にチームが育っていない場合、この関わり方をお勧めします。注意点は、気付けば上司が仕切っていた、上司1人だけが喋っていた、ということにならないように気を付けることです。

 

②「上司はチームの外にいて関わる」というスタイル

組織規模が大きい場合、あるいは、上司が研修に出たり、人に会ったり、新しい飯の種を探しに行ったりと、現場から離れる必要がある場合に適しています。注意点は、①の関わり方を十分に行い、チームがしっかりと育ってから離れることです。離れても、しっかりと関心を持ち、関わりましょう。無関心になるとチームは求心力を失い、自律できなくなります。

 

定期的に仕事の進捗を確認し、必要に応じ①のスタイルで、一緒に考えることが大切です。部下の1人に、チームの代表者になってもらい、マメに進捗の連絡をしてもらうと良いでしょう。ただし、代表者はあくまで、「連絡の代表者」です。上司を説得したり、逆に上司の代わりに他のメンバーを説得したりという交渉役ではありません。代表者から連絡を受け、上司がチームと対話する必要があると判断した場合、一時的に①のスタイルを取ります。

 

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賃金が上がる! 指示ゼロ経営

賃金が上がる! 指示ゼロ経営

米澤晋也

内外出版社

【内容】 本書の目標はズバリ、<賃金が上がる>企業を増やすことです。 しかし、賃金が上がらない時代において、“安易な賃上げ”は、かえって社員のモチベーションや企業の稼ぐ力を低下させてしまいます。そうならないため…

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