『余分な線』がある以上、一人前には育たない
私は、多くの組織を見てきた中で、下記図にあるPDS※が上手くいかない組織には、『余分な線』があることに気付きました。『余分な線』とは、PDSの三角形に入っている、斜めの線です(図表1)。
※PDS:P=Plan(計画)→D=Do(実行)→S=See(検証)という仕事の循環のこと
この『余分な線』は、企業でも、学校でも、家庭でも、至るところに存在します。人とチームの成長を阻害する諸悪の根源です。
例えば、家庭において、「子どもが学校から帰ってくると、宿題をしないでゲームばかりしている」という問題を抱えているとしましょう。この時に、「P」計画を立てるのは大抵、親です。子どもは計画に参画せずに、親が考えた「P」を「D」……やらされます。人は、計画に参画しないと物事を自分事にしません。自分事にしないと行動は変わりません。相変わらず帰宅するとゲームを始めてしまいます。その様子を、親が「S」検証し、新たな「P」を立て、子どもにやらせるのです。
PとSをする側と、Dをやらされる側とを分断する『余分な線』がある以上、一人前には育ちません。PDSをワンセットにして、責任を持ってやってもらうことが、一人前に育てる最良の方法です。相手を一人前として扱わない限り、一人前には育たないのです。
また、『余分な線』は、社長が賃上げを躊躇する原因でもあります。私は、PDSのワンセットを「ひとしごと」と呼び、「ひとしごと」ができる人を、「仕事の主(あるじ)」と呼んでいます。仕事の主は、高い働き甲斐を持って創造的な仕事をします。指示ゼロ経営では、「ひとしごと」をチーム単位で行います。
「D」……自分たちで役割分担を決め、協働する。
「S」……全体と、一人ひとりの進捗を、みんなで確認する。
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