人と組織の成長を阻む“諸悪の根源”…。いくら優れたハウツーを導入しても「自律的なチームが育たない」ワケ

人と組織の成長を阻む“諸悪の根源”…。いくら優れたハウツーを導入しても「自律的なチームが育たない」ワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

「計画したのに思うように進まない…」という経験は、企業、学校、家庭でも、至るところで生じています。この原因について、『賃金が上がる! 指示ゼロ経営』(内外出版社)の著者である米澤晋也氏は、同書で「計画者と実行者が別々になってしまっている状況」を指摘しています。本記事では、問題解決のカギとなる「PDS」とは何か、その説明と「組織を繁栄させるチーム体質の作り方」について、同書の中から一部抜粋・編集してお届けします。

 

『余分な線』がある以上、一人前には育たない

私は、多くの組織を見てきた中で、下記図にあるPDSが上手くいかない組織には、『余分な線』があることに気付きました。『余分な線』とは、PDSの三角形に入っている、斜めの線です(図表1)。

 

※PDS:P=Plan(計画)→D=Do(実行)→S=See(検証)という仕事の循環のこと

 

[図表1]「共創・協働の仕事の進め方」の概念である「PDS」の『余分な線』

 

この『余分な線』は、企業でも、学校でも、家庭でも、至るところに存在します。人とチームの成長を阻害する諸悪の根源です。

 

例えば、家庭において、「子どもが学校から帰ってくると、宿題をしないでゲームばかりしている」という問題を抱えているとしましょう。この時に、「P」計画を立てるのは大抵、親です。子どもは計画に参画せずに、親が考えた「P」を「D」……やらされます。人は、計画に参画しないと物事を自分事にしません。自分事にしないと行動は変わりません。相変わらず帰宅するとゲームを始めてしまいます。その様子を、親が「S」検証し、新たな「P」を立て、子どもにやらせるのです。

 

PとSをする側と、Dをやらされる側とを分断する『余分な線』がある以上、一人前には育ちません。PDSをワンセットにして、責任を持ってやってもらうことが、一人前に育てる最良の方法です。相手を一人前として扱わない限り、一人前には育たないのです。

 

また、『余分な線』は、社長が賃上げを躊躇する原因でもあります。私は、PDSのワンセットを「ひとしごと」と呼び、「ひとしごと」ができる人を、「仕事の主(あるじ)」と呼んでいます。仕事の主は、高い働き甲斐を持って創造的な仕事をします。指示ゼロ経営では、「ひとしごと」をチーム単位で行います。

 

「P」……「三人寄れば文殊の知恵」を出す。

「D」……自分たちで役割分担を決め、協働する。

「S」……全体と、一人ひとりの進捗を、みんなで確認する。

 

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賃金が上がる! 指示ゼロ経営

賃金が上がる! 指示ゼロ経営

米澤晋也

内外出版社

【内容】 本書の目標はズバリ、<賃金が上がる>企業を増やすことです。 しかし、賃金が上がらない時代において、“安易な賃上げ”は、かえって社員のモチベーションや企業の稼ぐ力を低下させてしまいます。そうならないため…

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