(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が懸念している、自分の老後生活と老後資金。しかし、平均的な日本の高齢者の懐事情を調査すると、むしろ余裕があることが見て取れる。ならば老後資金の問題は杞憂なのかというと、そこまで甘くはないようだ。高齢者の生活には、いくつもの不安要素が潜んでいる。実情を見ていく。

日本の高齢者夫婦、潤沢な預貯金で年金不足も「余裕の対応」!?

年金受給額では、高齢夫婦の生活でも月5万円ほど不足してしまう。老後生活が30年だとすると、2,000万円もの不足――。かつて、日本中の中高年層を騒然とさせた「老後資金2,000万円不足問題」の概要は、上記の通りだ。

 

この報道以降、中高年の人たちには「老後資金=最低2,000万円必要」という、強烈な注意喚起となったようで、資産形成への意欲は、さらに高まっているように感じられる。

 

では、論拠となった「家計調査 家計収支編」の最新2022年の平均値から、65歳無職夫婦の生活状況を追ってみよう。

 

ともに65歳以上・無職の高齢者夫婦「1ヵ月の収入・支出」

 

◆実収入:246,237円

  そのうち公的年金:220,418円

 

◆実支出:268,508円

そのうち消費支出:236,696円

(内訳)

食料:67,776円

住居:15,578円

光熱・水道:22,611円

家具・家事用品:10,371円

被服及び履物:5,003円

保健医療:15,681円

交通・通信:28,878円

教育:3円

教養娯楽:21,365円

その他の消費支出:49,430円

 

出所:総務省統計局「家計調査 家計収支編」(2022年)

 

上記から見ると、月々2万2,000円ほどの赤字。1年で26万円、30年で800万円ほどが不足する格好だが、ならば貯蓄はどの程度か。「家計調査 家計収支編」から見てみよう。

 

ともに65歳以上・無職の高齢者夫婦「貯蓄と負債」

 

◆貯蓄:2,509万円

そのうち金融機関:2,504万円

(内訳)

 通貨性預貯金:728万円

 定期性預貯金:928万円

 生命保険など:400万円

 有価証券:448万円

 

そのうち金融機関外:4万円

 

◆負債:29万円

そのうち住宅・土地のための負債:24万円

そのうち住宅・土地以外の負債:2万円

 

上記からわかるように、「平均2,500万円強」との数字が出ている。この点から、日本の現状の高齢者たちは、年金不足を補うに足りる、十分な貯蓄を準備しているといえそうだ。

 

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