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――税務調査ってどのぐらいの確率で入られるんですか? それにもし調査があったら、追徴税額ってたくさん支払わないといけないんですかね?
板山翔税理士:「税務調査に入られる確率はコロナ前の数値で計算して法人約3.3%、個人約1.1%とあまり高くありません。ただし、追徴税額の平均は令和3事務年度実績で法人約570万円、個人約399万円と大きいですね。」
税務調査についてよく聞かれる質問
コロナによる自粛の影響で、近年は税務調査の件数も少なかったのですが、自粛ムードがなくなったためか税務調査に立ち会う機会も増えてきました。
税務調査の経験がない人からも、
「税務調査はどのぐらいの確率で入られるのか?」
「調査されたら追徴税額はどのぐらい取られるものなのか?」
といった質問をよくされますので、今日はこの2つの質問に回答していきます。
税務調査に入られる確率は?
●法人…約3.3%(コロナ前の平均値で算定)
●個人…約1.1%(コロナ前の平均値で算定)
令和3事務年度(令和3年7月~令和4年6月)の法人税の税務調査件数(実地調査件数)は約4万1千件でしたが、コロナ前の税務調査件数は年間10万件程度と2倍以上でした。
■法人の場合
法人の申告数は年間300万社程度ですので、税務調査に入られる確率はコロナ前で計算しても約3.3%(10万件÷300万社×100)とそれほど高くありません。
※参照:国税庁『令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要』(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/hojin_chosa/index.htm)より
■個人の場合
個人の場合も、令和3事務年度の所得税の税務調査件数(実地調査件数)は約3万1千件でしたが、コロナ前の税務調査件数は年間7万3千件程度と2倍以上でした。
個人の場合は調査対象になる分母の測定が難しいのですが、確定申告書を提出した人のうち申告納税額がある人は630万件前後(コロナ前の令和元年以前)であったので、これを分母として計算すると約1.1%(7万3千件÷630万件×100)の確率となりました。
※参照:国税庁『令和3事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について』(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/shotoku_shohi/index.htm)より
追徴税額はどのぐらい取られる?
●法人…1件あたり約570万円(令和3事務年度実績。法人税+消費税+加算税)
●個人…1件あたり約399万円(令和3事務年度実績。所得税+消費税+加算税)
令和3事務年度の法人税の税務調査約4万1千件のうち、売上計上漏れや経費否認があった件数は約3万1千件と、否認割合は約76%(3万1千÷4万1千×100)もあり、4社に3社は何らかの否認を受けているということになります。
また、1件あたりの追徴税額は平均約570万円(法人税+消費税+加算税)と大きく、これらの数字だけ見たら税務調査ってなんて恐ろしいんだろうと思いますが…。
そもそも税務調査は不正が見つかりそうな会社を狙って行われることが多いため、追徴税額の平均額が大きくなっているだけで、まっとうに申告している会社は、税務調査に入られたからといって過度に怯える必要はありません。
ただし、真面目に申告しているからといって、どうしても細かいミスや税務署との見解の相違が見つかることも多いので、税務調査が入ったらある程度の追徴税額が取られるものだと覚悟はしておいた方が無難でしょう。
個人の方は令和3事務年度の所得税の税務調査約3万1千4百件のうち、否認件数は約2万6千7百件と否認割合は約85%あり、1件あたりの追徴税額は平均約399万円(所得税+消費税+加算税)でした。
個人の方が規模が小さいので、追徴税額も法人より小さく、税理士に頼まず自分で申告している人も多いので、否認割合が高いのではないかと推察されます。
いずれにせよ数百万円も追徴税額が取られるのは恐ろしい話ですが、真面目に申告していればそんなに心配する必要はありませんので、最初から正しくミスなく申告することを心がけていきましょう。
板山 翔
板山翔税理士事務所 代表、税理士
おそらく日本初の「オンライン専門の税理士事務所」の創設者。自社の事業を「税理士業」ではなく、「経営に必要な情報をオンラインで提供する事業」と捉え、経営戦略コンサルタントとしても活動している。従業員5名以下の小さな会社の経営者を中心に、「小さな会社だからこそできる差別化戦略」の立て方や、「短期間で売上アップするためのマーケティング戦略」、「長期的に資産を形成していくための財務戦略」などを教えている。
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