(※写真はイメージです/PIXTA)

死後に備えて、相続などに対する準備をしていても、思わぬところで問題が出てくることがあります。──本連載は、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』監修のもと、実際にあった事例をお届け。本記事では、田中佳奈さん(仮名)の事例から、夫婦が決定した夫の墓地について義両親が強く反対し、対立してしまったケースを紹介します。そして、その問題を円満に解決するために弁護士が提案した方法を見ていきます。

「亡くなった夫の遺骨をどうするか」妻と夫の両親とで対立

価値観は人それぞれであり、一見些細な問題でも他人にとっては重要な事柄となることがあります。相続においても、このような状況はよく起こります。

 

今回ご紹介するのは、遺産分割協議は順調に進んでいたのに、遺骨の埋葬場所に関して大きな問題が発生してしまった、田中佳奈さん(仮名)の事例です。

 

佳奈さんが弁護士である私、鈴木のもとに相談に来たのは、新しい年が始まって間もない頃でした。彼女の相談内容は、亡くなった夫の遺骨をどのお墓に埋葬するかということで、夫の両親との間で対立が生じているというものでした。

 

「お忙しい中、こんなことで相談してしまい申し訳ありません……」そう話す佳奈さんの第一印象は、目の下にクマを作り、とても疲弊しているように見えました。

 

「ご心配なく、どんなことでも話してください」まずは佳奈さんが少しでも話しやすい状況を作るため、私は丁寧に質問を始めました。

 

「ご主人とのお話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「はい、私と主人は、約30年間夫婦として過ごしてきました。子供はできませんでしたが、今振り返るととても楽しい夫婦生活だったと思います」

 

佳奈さんが重い口を開き始めました。

 

「主人の持病が悪化し、死期が近いと感じ始めた頃から、私たち夫婦は相続などについての準備をし始めていました。そして、主人が亡くなって早い段階で司法書士が入り、自宅不動産・預貯金等の遺産分割協議書も無事に完成し、これから主人を想いながら自分も余生を過ごそうと思っていました」

 

そう話す佳奈さん。しかしそんな矢先、思わぬところから事件が起きたと言います。

 

旦那様のご両親からお墓について、反対をされてしまったのです。

 

佳奈さんは、自宅近くでもあり旦那様の職場近くでもあるお寺にある納骨堂型のお墓に埋葬することを考えていました。

 

なぜそこに納骨することを検討しているか聞くと、「生前、主人と同じ会社で働いていた方が、亡くなった後にそこに納骨して弔って手を合わせてくれたらいいよね、と主人と話していたからです」とうっすら涙を浮かべながら答えてくれました。

 

「それはとても素敵な考えだと思います」と私は答えました。

次ページ頑なな両親。家に頻繁に訪れるようになり…

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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