相続は誰に相談すべき? ケース別に解説
相続に関する相談先はとても多いです。ただし、得意分野はそれぞれ存在します。
下表をご覧ください。
特に弁護士・税理士・司法書士・行政書士は専門分野が分かれています。手続きの代行等を依頼できますが、権限外の手続きには対応できないので注意しましょう。
例えば遺産分割調停や審判で、紛争当事者の立場にたって主張立証をしてくれるのは弁護士だけです。
相続を相談する人を選ぶ際のポイントとは? 避けるべき失敗例
次に、相続の相談を行わなかった結果、相続手続きに支障が出るケースを紹介します。
失敗例その1:相続財産調査が甘かった
税理士へ相談し相続税申告まで依頼したのに、十分な相続財産調査を行わなかったために、相続税の申告がやり直しになったケースです。
【失敗の経緯】
相続人は「被相続人の遺産は全て把握済みだ」と思い込み、相続税の発生が見込まれたので税理士に相談しました。
税理士も相続税の発生を指摘し、相続税の算定等の流れを詳しく説明しました。仕事の忙しかった相続人は、税理士に相続税の算定・申告を依頼します。
相続発生から6ヵ月以内に税理士が税務所へ申告してくれて、相続人は安堵していました。しかし申告後、相続人が知らない被相続人の不動産資産があることが判明しました。
申告漏れで慌てた相続人は、申告期限内になんとか訂正申告を行い、ペナルティを免れました。
【相談のポイント】
被相続人に財産が多い場合は、相続人が把握していた財産以外にも、予想外の財産を所有している可能性があります。また、税理士に相続税の算定を依頼する場合、被相続人の財産の情報を提供するのは基本的に相続人です。
遺産の正確な情報がわからないと、税理士も誤った相続税の算定を行ってしまいます。
素人の調査では被相続人の財産を見逃す可能性があります。財産が多い場合は、相続財産調査を行政書士に相談し、正確な調査をしてもらいましょう。
税理士事務所によっては行政書士と提携していて、相続財産調査に対応してくれる行政書士事務所を紹介してくれるところもあります。
失敗例その2:相続人の不平不満を解消できなかった
行政書士に相談し遺産分割協議書を作成してもらったが、相続人が署名・押印を拒否した、というケースです。
【失敗の経緯】
相続人は、遺産分割に不満のある相続人と満足に話し合いで調整を行っていませんでした。この問題を棚上げしたまま、行政書士に遺産分割協議書の作成を相談し、依頼を行います。
行政書士は指示通りに協議書を作成したものの、遺産分割に不満のある相続人は署名・押印を拒否、その後に相続人間で激しい口論が起き、遺産分割は不成立となりました。
【相談のポイント】
相続人は遺産分割に不満のある相続人がいた場合、弁護士にまず相談するべきでした。不満のある相続人の言い分を放置しても、遺産分割協議書に同意しないのは明らかです。
この場合は遺産分割協議をしても話はまとまらないと考え、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てる必要があります。
弁護士に遺産分割調停のサポートを依頼すれば、書類の収集・作成はもちろん、申立人の立場にたった主張を調停・審判の際に行ってくれます。このようなサポートは、弁護士以外の士業専門家には認められません。
弁護士という法律の専門家をたてれば、深刻な遺産分割トラブルも和解へつながる可能性が高くなります。
相続の相談にはいくらかかるのか?
地方自治体・銀行・円満相続ラボへの相続相談は無料です。もちろん、銀行と相続に関する契約(例:相続信託等)を締結した場合は、契約料・手数料等を支払う必要があります。士業専門家の相談料は下表の通りです。
ただし、相談料はそれぞれの法律(弁護士法、司法書士法、税理士法、行政書士法)で決まっているわけではなく、事務所ごとに自由に料金設定ができます。そのため、相談は初回無料・何回でも無料と設定されている事務所もあります。